調査は10月4〜8日にエコノミスト50人を対象に行われ、約68%のエコノミストが、トランプが示している経済政策を実行した場合、ハリスの政策を実行した場合よりインフレ率が高くなると回答した。
ハリスの経済政策の方でインフレが悪化すると考える人の割合は12%、顕著な差はないと回答した人の割合は20%だった。
ジョー・バイデン大統領が大統領選から撤退する前の7月5〜9日に行われた同様の調査では、エコノミストの56%がトランプの政策でインフレが悪化すると回答し、バイデンの政策でインフレが悪化すると回答した人の割合は16%だった。この差は今回の調査結果でさらに広がった。
おそらくトランプが選挙戦で打ち出した最も注目すべきインフレ対策は、中国製品への60%の関税とその他の輸入品に対する10%の関税だろう。
どちらの候補がインフレをうまく制御できるか、有権者の見方は五分五分だ。英紙フィナンシャル・タイムズと米ミシガン大学ロス・スクール・オブ・ビジネスが先月行った調査では、物価の抑制に関しては有権者の44%がハリスを、43%がトランプを信頼している。一方、米調査会社データ・フォー・プログレスの世論調査では46%対45%でトランプの方がインフレ抑制を期待できるという結果が示された。
また、インフレ率はバイデン・ハリス政権下よりもトランプ政権下の方ではるかに低かった。日常的に購入する商品やサービスの価格変動を追跡する消費者物価指数(CPI)はインフレの指標として最もよく引用されるものだが、トランプ在任中は7.8%上昇(年率換算で1.9%)、バイデンが就任してからの3年8カ月では19.9%上昇(同5.4%)だった。
この差は大きいが、インフレ率に影響を及ぼす要素は大統領だけではない。トランプは2020年の新型コロナウイルス感染症の発生による景気の下押し圧力の恩恵を受けた。バイデン政権下のインフレはパンデミックからの経済回復に部分的に起因する世界的なインフレ発生によって悪化したが、バイデン政権が導入した景気刺激策がインフレを招いたとの指摘も一部ではある。
大統領選が来月に迫る中、インフレは有権者が最も重視する争点の1つと考えられている。消費者物価指数は2022年半ばに41年ぶりの高水準となる前年同月比9.1%上昇となったが、現在は大幅に下がっており、先月は3年半ぶりの低水準となる同2.4%上昇となった。
トランプの経済政策には法人税の引き下げや社会保障所得への課税の撤廃が含まれる。一方、ハリスの経済政策には6000ドル(約90万円)の児童税額控除や初めての住宅購入者向けの最大2万5000ドル(約370万円)の頭金の支給などがある。エコノミストらはどちらの政策でも赤字が増え、インフレをさらに加速させる可能性があると見ている。
ペンシルベニア大学ウォートンビジネススクールによると、トランプの政策では今後10年で赤字が4兆1000億ドル(約611兆円)増加するのに対し、ハリスの政策では2兆ドル(約298兆円)増にとどまるという。
(forbes.com 原文)