中小企業の8割以上が十分な労働者の確保に苦慮していると報告している。建設や製造、運輸、物流など、人手不足が半数以上の企業に影響を及ぼしている業界もある。
これまで以上に多くの外国人労働者を誘致して人手不足を補おうと、ポーランド政府は初の包括的移民戦略を策定中で、年内に発表される予定だ。
これまで同国の移民政策は概ね受身的で、長期的な目標が明確に定められていなかった。そのため、外国人労働者にとっては同国の魅力は薄れ、投資も妨げられてきた。
シンクタンクのポーランド経済研究所が6月に公表したレポートによると、調査対象企業の半数が労働力不足は事業の大きな障害になっていると回答している。特に建設業界の状況は深刻で、10社中7社近くが影響を受けている。
中央統計局(GUS)のデータでは、今年第1四半期に積極的な採用活動にもかかわらず人材を充足できなかった求人数は11万2000件にのぼったことが示された。推計では、同国の労働力不足は2026年には150万人に達する可能性がある。
労働力不足の一因は少子高齢化だ。過去30年間で出生率は40%低下し、1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は現在1.33だ。今後数十年間は人口減少が続き、2023〜2060年に生産年齢人口が少なくとも700万人減少すると統計局は予測している。
だが移民の雇用を模索している企業は、規制面で多くのハードルに直面している。人材紹介会社Contrain Group(コントレイン・グループ)の移民雇用の専門家であるアンドリー・アルカニウクによると、EU加盟国以外の外国人が労働許可を得るには8~10カ月かかるという。
8月には11の経済団体が「合法かつ持続可能な労働移民につながる好ましいアプローチ」を取るよう政府に要望した。多くの起業家は、厳格な移民政策で労働者の確保が難しくなることを懸念している。
ポーランド経済研究所で経済フォーサイトチームを率いるカタジナ・ドゥブコフスカは、包括的で信頼でき、選りすぐられた移民政策を策定することは、政府が喫緊に取り組むものの一つであるべきと語る。
「この10年でポーランドの人口の流出入の差がマイナスからプラスに転じたことを考えれば、これは特に重要なことだ」とドゥブコフスカは言う。
ポーランドでは約100万人の外国人が働いており、全労働人口の6.6%を占めている。外国人労働者の68.7%がウクライナ出身で、次いでベラルーシ人11.4%、グルジア人2.5%となっている。
ポーランド在住ウクライナ人の最大3分の1がポーランドを去ることを検討している。能力や技術に見合わない職務に就いており、昇進の機会も限られているためだ。これは、ウクライナ人の労働力に大きく依存している建設、運輸、物流などの業界にとって重大なリスクだ。
アルカニウクは、ウクライナから逃れてきた人々がスキルに見合った職で採用されれば、ポーランド経済に大きく貢献することができると考えている。だが多くがポーランド語を話せず、言語という大きな障壁に直面している。
アルカニウクは、ウクライナ人の労働者がうまくポーランドに溶け込み、労働力として十分に貢献できるよう、政府が例えば減税や補助金などを通じてポーランド語習得の支援を検討するよう提案している。
(forbes.com 原文)