米連邦準備制度(FRB)は先日0.5%の利下げを行った。約4年ぶりの利下げだ。利下げ後、米国の政策金利であるフェデラルファンド金利(FF金利)の誘導目標は4.75~5.00%とされており、FRBにはさらに金利を引き下げる余地がまだ残されている。
通常、金利の低下はテクノロジー産業を含む成長セクターにとって有利に働く傾向がある。また、金利の低下により大規模データセンターの建設にかかる資金調達コストが削減されることから、データセンターへの設備投資が活発化する可能性もある。これは、サーバー用のCPUやGPUを販売するAMDのような企業にとっては追い風だ。
そうした外部要因に加えて、競合のインテルを抑え、AMDがソニーの次世代ゲーム機向けプロセッサの設計契約を獲得したとの報道もある。これが本当であれば、AMDはこの契約によりソニーとの長期的な関係を構築することができるだろう。当の次世代ゲーム機の発売は2027年以降になるのではないかと噂されているが、ソニーは現行のプレイステーション5をすでに約6200万台出荷していることを考えると、AMDにとって大きな収益源になる可能性がある。
AMDは昨今の生成AIブームからも恩恵を受けている。GPUは今や、AI関連の処理において欠かせない半導体となっている。AMDは、生成AIにおける大規模な言語モデルのトレーニングと推論に適したAMD Instinct MI300Xなどの新型半導体を発表している。AMDは最近、今年のMI300シリーズの売上見通しを45億ドル(約6500億円)に引き上げたが、AIアプリケーションの需要が急増していることや、エヌビディアに替わる製品を求める声が出てきたことを考えると、この数字はさらに高くなる可能性がある。収益基盤が強化され、製品ミックスも改善することから、AMDの利益はさらに増加するはずだ。
株価パフォーマンスと目標株価
AMD株の過去3年間におけるリターンはS&P500種株価指数のリターンよりもかなり不安定だ。AMDの過去3年間のリターンはそれぞれ、2021年に57%、2022年にマイナス55%、2023年に128%となっている。現在、AMDは2024年度の市場予想利益の約47倍で取引されており、これは比較的高い倍率である。しかし、PC市場の回復が続いており、AI向け半導体の需要も急増していることから、この倍率はある程度正当化できるだろう。私たちはAMDの目標株価を現在の市場価格より約6%高い、約168ドルとしている。
(forbes.com原文)