非上場企業が投資資金を回収するまでに長い時間を要することは、今日では珍しいことではない。ここ何年かのトレンドとして、投資家は、投資回収を指すいわゆるエグジットまでの期間を長く見積もり、その分、会社が大きく成長するのを期待する傾向がある。その期間で収益を上げる能力を高めるというのが狙いだ。
Redditの提出書類（専門用語でS-1）で興味深いのは、同社が創業してからこれほど長い時間をかけてもなお、多額の損失を出していることだ。その金額は1日あたり23万2432.87ドル（約3500万円）、1時間あたり約9685ドル（約150万円）にもなる。
コンデナストの親会社であるAdvance Publications（アドバンス・パブリケーションズ）が、何年も前にRedditに別れを告げたのは、このことが関係しているのかもしれない。
JOBS法の定義により、同社は自らを「新興成長企業」と呼ぶが、次の3つの条件のいずれかが起こるまでそうあり続ける。
・売上高が少なくとも12億3500万ドル（約2000億円）に達する
・IPO公募から5年後の会計年度最終日に達する
・直近3年間で10億ドル（約1500億円）以上の非転換社債を発行する
さもなければ、同社は1934年証券取引所法により「早期大規模登録会社（Large Accelerated Filer）」とみなされることになる。
S-1に書かれたリスク要因の項目は54ページもある。私は長年多くのS-1提出書類を読んできたが、それでもかなり長く感じる。その中でも特筆すべきは「当社はこれまでの歴史の中で多額の損失を出しており、黒字化を達成できない可能性がある 」という一文だ。
過去にもそういった企業はあるが、それはもっと若い頃の話だ。アマゾンもまた長い間、黒字を出せなかった企業ではあるが、2001年の最終四半期には初めて黒字化した。それは、ジェフ・ベゾスのガレージから会社がスタートしてから約7年後のことだった。
FedEx（フェデックス）にも赤字が目立った時期があり、倉庫、飛行機、トラックなど大量の資本設備の買収が引き金となった。同社も1971年の創業から4年後に初めて黒字を達成した。
