ビジネス

2015.07.19

若い人たちが「共感」できる 日本発の世界メディアが必要だ

C Channel 代表取締役 森川 亮

日本を元気にするためには未来を背負う若者が元気にならなければいけないのに、日本では若い人に活躍の場が少ないと感じていた。「日本を良くする」というG1サミットの趣旨を実現するためにも、この問題を解決すべきだと考えていた。自分自身がテレビ局に勤めていた経験やLINE での経験を振り返ると、そこにはメディアの問題があった。若者にとって、既存のメディアはすでに共感できないものとなっていたからだ。テレビや新聞から若者はどんどん遠ざかっている。雑誌も一部の専門誌を除いて同様だ。かといって、ネットもオタクっぽいイメージが先行し共感しにくいと考える若者が増えている。

どうして若者は既存のメディアに共感できないのか。その理由のひとつは、メディアの中心になっている齢の上の層が、若者のすることをすぐに「けしからん」と批判してしまうことだろう。また、メディアが発信する価値観はいまだに「地位、名誉、金」といった古いものが多く、若い人たちが大事にする「仲間、愛情、個性」とは相容れない状態にあることも大きい。さらに、共感を大切にする若者にとっては、現状のメディアの一方通行性には価値を見出しにくいという面もある。

若い人たちが共感できるメディアを作りたいという思いだけで、これまで世話になったLINEを飛び出し、この4月に「C CHANNEL」を立ち上げた。日本が世界に誇れる文化であるファッション、ヘアメーク、フード、観光スポットなどを扱う女性向け動画メディアである。この動画メディアを使って、「クリッパー」と呼ばれる動画発信者の女性がお気に入りのファッションやレストランを紹介する。

「C CHANNEL」は単純に動画を撮って流すメディアではない。日本を変える、世界を変える、歴史を変えるメディアである。若い人たちがコミュニケーションをとるための “ 場 ” を作ったつもりだ。共感される動画を紹介することで注目されれば、クリッパーが世界に出ていける。クリッパーが紹介した「もの」や「店」も世界に出ていける。動画を通じてコミュニケーションが可能になる。

これからの時代は「認知度」ではなく「共感」が鍵を握る。クリッパーたちが媒介する情報は金儲けのための情報ではない。自分が好きで自分でお金を払って楽しむものなので、見る側にとっても広告とは違うリアリティがあり、共感を得られる。

日本にはこれまで日本発のグローバルメディアがなかった。若い力を結集し、「C CHANNEL」を日本発のグローバルメディアに成長させたい。

鈴木裕也 = 構成

この記事は 「Forbes JAPAN No.13 2015年8月号(2015/06/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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