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2023.12.28 20:00

「社会人らしい髪」から自由に 社員証から社会の意識を変えるLUXの挑戦

ユニリーバ・ジャパンが展開するヘアケアブランド LUX(ラックス)が2023年のスローガンとして掲げた「#BeHairself 私の髪は、私が決める。」。その実現の第一歩として同年4月に始動した「Real Me ID Project」は、社会人らしい髪型や髪色にすべきという固定観念を打破し、社会人の象徴でもある社員証(ID)の写真を自分らしい髪の写真に変えていくというプロジェクトだ。

日本社会に依然として残る社会人の髪型や髪色への固定観念や、髪の自由化への個人や企業のアプローチを、全3回にわたって紐解いていく。


第1回は、自分の髪を自由に選べる社会へのアクションについて、「私らしい髪」をアイコンとし世界を魅了する双子モデルのAMIAYAと、ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社 アシスタントブランドマネージャー - ラックスの大西朱音が対談する。

海外で通用する「私らしさ」を追求し、辿り着いたアンサー

大西朱音(以下、大西):AMIAYAさんの髪色や髪型は、お二人を象徴するアイコンになっていて素敵ですね。そのスタイルに辿り着くまでのストーリーはどういったものだったのでしょうか。

AMI:2016年に初めて海外メゾンのショーを体験したのですが、そこには個性に溢れた人たちばかりで、誰もが自分にしかないスタイルを築いていました。海外では、アイデンティティがないと注目してもらえません。AYAちゃんと「私たちに足りないものはなにか」「2人にしかない強みとは……」と掘り下げたことが転機になりました。

AMI(ノースリーブジャケット ¥135,300(参考価格)/MSGM(アオイ) その他スタイリスト私物)

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AYA:そのとき、帰りの飛行機の中で見たティムバートン監督の映画『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』に出てくる容姿や服装が同じ双子からインスピレーションが降りてきました。このインパクトこそ、私たちならではの強みになると、お互いに感じていたのです。ピンクという色を選んだのは、当時AMIちゃんが染めていた淡いピンクカラーが海外で評判がよかったこともありますし、アニメキャラのイメージで東京のカルチャーを感じさせる色だったという理由も大きいです。

大西:その転機こそが、AMIAYAさんが大きなチャンスを掴むきっかけになったそうですね。

「私らしい髪」がもたらしたポジション

AYA:目標としていた海外でのお仕事が増え、活動の場が広がりました。手が届かないと思っていたハイブランドのショーに招待される機会にも恵まれ、海外メディアからも注目されるようになりました。グローバルブランドの広告のオファーなどもいただけるようになり、飛躍的にステップアップしたと感じます。

AMI:髪色ひとつ、髪型ひとつで、私たちから見える世界が変わり、これほどまでに可能性が広がるのだと驚きました。

大西:お二人のお話を聞いていると、髪色や髪型が「私らしさ」を表現する上で大切なことなのだと改めて感じます。一方でLUXの行った調査では、2人に1人(※)は周囲の目を気にして自分のしたい髪色や髪型を諦めていることが明らかになりました。

(※)47.8%の女性が「世間体や周りの目を気にして、自分のやりたいと思う・好きな髪型や髪色を諦めたことがある。」と回答。(2022年12月 ユニリーバ調べ)

AYA:半数もの方が好きなヘアカラーやスタイルを諦めているとは……。思っていた以上の数です。

AYA(ジャケット ¥151,800(参考価格)/MSGM(アオイ) その他スタイリスト私物)

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大西:そういった実情を受け止め、LUXは、一人ひとりの髪の自己決定権を取り戻すための「#BeHairself 私の髪は、私が決める。」というブランドスローガンを今年(2023年)の3月に発表し、最初のアクションとして「Real Me ID Project」を始動しました。「美しさに関する固定観念を打破し、あなたがなりたい美しさに変化していくことを鼓舞する。」というブランドパーパスのもと、「固定観念に縛られず、誰もが自分の髪を自分で選べる社会」を、社会人の象徴かつ自分を証明するIDカードから実現していくプロジェクトです。具体的にいま、弊社内で進めているのが、社員証(ID)の写真を撮り直すことです。2023年12月現在、ユニリーバ・ジャパンでは希望した社員全員の写真を再撮影し、新しい社員証に切り替えました。

AMI:なぜ社員証にフォーカスしたのか、とても気になります。

大西:実は、約7割もの人が本来の自分を示すはずの社員証で、自分らしさを表現できておらず、自信を持てないと感じていることも調査結果からわかりました。実際に「就職するから髪を黒く染める」や「インパクトの強い髪型はできない」という声を耳にします。そんな社会人らしい髪色や髪型にとらわれることなく、自分がなりたい私らしい姿でいられる世の中を目指すきっかけとして、このプロジェクトが役立つことをLUXは期待しています。まずは企業側が変わっていくことで、社会全体を変えていけるのではないかと考えています。

「社会人らしく」という固定観念に終止符を

AMI:私は会社員ではありませんが、大西さんのお話にあったように周囲を気にして自ら髪色や髪型に制限をかける気持ちは理解できます。私たちは髪をピンクにする前から周囲のモデルさんと比べると自由なヘアスタイルにしているつもりでした。けれど、知らず知らずのうちに自らリミットをつくっていた、と海外に行って痛感しました。私たちの考える自由は、日本基準のものだったのだと。

AYA:髪色や髪型に対するイメージは、会社員の方に限らないことだと感じます。周囲の友人や知人にも「もうママだから」「30代だから」と、トライしたい髪色や髪型を諦めている人が少なくありません。

大西:私自身は会社員ですが、弊社は髪色や髪型に制限がないため、常に自由な髪色や髪型を楽しんできました。今は金髪にしています。それを認めている社風も入社した理由のひとつです。ですが、周りの友人や今回のプロジェクトでSNS投稿してくださった方の多くは、やはり職場や周りの目が気になって一歩踏み出せない人が多いように感じます。

AMI:日本にも多様性という意識が浸透してきていますが、それでもまだハイトーンヘアは特別なものだと感じます。というのも、ピンクの髪でカラフルな服装で歩いていると、褒めてくださる方も多いのですが、一方で「何あれ!」というようなリアクションをされることも少なくないからです。

大西:日本は黒髪がベースなので、色が違うというだけで奇抜という印象を持たれやすいというのはあるかもしれませんね。AMIAYAさんは、そういったリアクションをされたとき、残念な気持ちになるのでしょうか。

ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング アシスタントブランドマネージャー - ラックス 大西朱音

ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社 アシスタントブランドマネージャー - ラックス 大西朱音

AMI:いいえ。自分らしさを貫いたスタイルでいると、自分に自信が持てるので前向きでいられるし、モチベーションのアップにつながります。私は私という自分軸で生きられるというのが強み。ですから、誰に何を言われようと気になりません。社会が多様化しているいま、社会人らしい、〇〇らしいという髪につきまとう印象の枠も進化すべきだと感じます。

AYA:私たちの好みや目指すモデルとしてのポジションに行くために必要なエッセンスと合致したのがこのピンクと日本人形のようなボブでしたが、誰もが派手な髪の色や奇抜なスタイルにすることが正解と言っているのではありません。自分らしくいられる髪色や髪型をできる自由を手にすれば、新しい価値観が生まれ、プラスに作用することが多いのではないかな、と。そして、その変化をポジティブに捉えて肯定する社会の風潮になってほしいと願っています。

AMI:私たちは、一般的に落ち着いた髪色でロングヘアのほうが仕事の選択肢が多くなるモデルという職業でありながら、ピンクのボブというヘアスタイルを続けています。そういった日本に今ある常識に縛られないスタイルが「私らしくありたい」と望む人たちの背中を押すメッセージになり、社会を変えるきっかけになればと思っています。

自分らしい髪でいられることが、日本の新しい「当たり前」に

AMI:一歩を踏み出すことで後悔することはない、というのが私の持論。私たちは15歳のときにモデルを目指して静岡県の浜松から上京しました。その後、何度となく大苦戦しましたが、一歩を踏み出したからこそ、すばらしい出会いがあり、理想とする自分に近づくための道が開かれました。何かに迷うことがあれば、その場に止まっていたら見られない風景が一歩先にはあると信じて進んで欲しいです。

大西:その一歩として今回のプロジェクトで提案しているのは、髪型や髪色の自由化ですが、「自分らしさ」を表現できるようになれば自信につながり、仕事へのモチベーションアップや新しいことへチャレンジできるようになるというのが、最終的な目標です。そういった「社会人らしさ」という固定観念にとらわれない世の中を目指すためには、受け入れる側の社会にも目を向ける必要があります。そのため、「Real Me ID Project」に賛同する企業を増やし、拡大していく活動にも力を入れています。

AYA:LUXのような誰もが知っているブランドがこの取り組みを発信することで、多くの人にメッセージが届くことが期待できますね。

大西:このプロジェクトが浸透して、社会人が「自分らしい髪」でいることが当たり前になって欲しいです。現在の日本の当たり前を変えていくために、これからも活動を続けていきます。

LUX Real Me ID Project
https://www.lux.co.jp/behairself/realmeid/


AMIAYA(あみあや)◎モデル、DJ、クリエイティブディレクター。1988年生まれ。静岡県浜松市出身。姉のAYA、妹のAMIの双子ユニット。モード誌をはじめ、ブランドのキャンペーンや広告、ファッションショーのフロントローなど、世界を舞台に活躍中。アパレルブランド「jouetie」でクリエイティブディレクターを務める。

大西朱音(おおにし・あかね)◎ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社 アシスタントブランドマネージャー - ラックス。2021年9月新生LUXのリブランディングを先導。新たなLUXブランドのスタートに際し、2030年までのブランドビジョンとして「LUX BRAVE VISION 2030」を掲げ、2023年には「#BeHairself 私の髪は、私が決める。」というメッセージと共に髪の自由化を進めるプロジェクトを担当。社員証の写真をより自由で自身を表現できる髪型で撮り直すブランドアクション「Real Me ID Project」の企画・実行を通じてブランドメッセージを発信し、本アクションで2023年日経広告賞優秀賞を受賞。

Promoted by ユニリーバ・ジャパン / styling by Chie Ninomiya / hair&make up by KATO(TRON) / text by Yuko Kaneko / photographs by Shuji Goto / edited by Kana Homma

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