ペディドーシャも他のフードデリバリーサービス同様、自分がオーダーした、例えばチーズバーガーがいまどの地点を移動しているかを、アプリ内の地図で確認することができる。この機能をうまく活用した施策が、ペディドーシャ「ワールドカップ・デリバリー」だ。
2022年12月、アルゼンチンは36年ぶりにサッカーのワールドカップ(中東のカタールで開催)で優勝した。このとき、ペディドーシャのアプリで「メッシを始めとする代表選手たちと優勝トロフィーを乗せた飛行機がいまどこを通過しているのか」を追跡できるようにしたのだ。
PedidosYa - World Cup Delivery (case study) Mobile Grand Prix at the Cannes Lions 2023
この事例は、今年6月にフランスで開催されたカンヌライオンズ2023において、モバイル部門グランプリ等を受賞した。カンヌライオンズとは、世界の広告界やマーケティング界で飛びぬけて大きな影響力を持つアワ−ドである。
突然のプッシュ通知
当時、英雄メッシの活躍によりもたらされた36年ぶりの優勝に、もともと大のサッカー好きだったアルゼンチン国民は、尋常ではないほど熱狂していた。国民の関心は、優勝トロフィーとメッシたち代表選手が、いったい“いつ”アルゼンチンに帰って来て、“いつ”リアルに祝うことができるのか、ということに集まっていた。しかし、その詳細は報道されていなかった。
そんな中、ペディドーシャはアプリ会員に向けて「あなたの注文は、デリバリー中です」という謎めいたプッシュ通知を届けた。「ここをタップして、リアルタイムで追跡しましょう」というフレーズとともに。そのプッシュ通知は、何もオーダーしていない人たちに対しても送られた。
当然のことながら、多くのユーザーはいぶかった。「あれ? 何も注文してないのにな」と。でも送信元はいつものペディドーシャで、その点では怪しい感じはない。詳しく見てみると、「優勝トロフィーと選手たちを乗せた飛行機が、いまどこを飛んでいるか」がリアルタイムで追跡できたのだ。
PedidosYa - World Cup Delivery (case study) Mobile Grand Prix at the Cannes Lions 2023より