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2023.09.29 11:00

ヘルスケア領域の革新をめざし、個人の健康価値にフォーカスするCEOのこれからの戦略とは

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シミックホールディングスは、製薬会社の医薬品開発を請け負うCRO(Contract Research Organization)事業を日本で初めて実現させたパイオニア企業だ。1992年に事業をスタートさせ、その後もCDMO(医薬品製剤開発・製造支援)、CSO(医薬品営業支援)などビジネスを拡大。近年では2019年にソニーが手掛けていた電子お薬手帳サービス事業を継承、23年6月には山梨県に関係企業も利用できるコミュニケーション空間、「Yuzuriha」を新設した。
 
常に時代の先端を走り、新規事業を実装させてきた創業者の中村和男は、この施設を「Future Design Lab.」と位置付けている。その狙いとは。彼の思いを探ると、VUCA時代に企業が生き抜いていくための重要なヒントがあった。


シミックホールディングスCEOの中村和男(以下、中村)は、日本でCROの概念を定着させ、その道を切り拓いてきた。中村の行動力の源を探るため、まずは彼の経歴からさかのぼっていこう。

京都大学薬学部製薬化学科を卒業後、国内大手の製薬会社に入社。新薬の研究開発に携わり、幾度となくアメリカに赴き最先端の技術を学んできた。そこで、画期的な開発を生み出すバイオベンチャーの存在に気づく。

豊かな創造性は余白のなかから生まれる


中村が製薬会社に入社したのは69年。当時の日本では、製薬会社が医薬品の研究・開発を担い、研究者は日々、新薬の開発に明け暮れていた。70年代に入り、研修でアメリカに行くようになった中村は、自分と同じ研究者たちの環境に目を疑った。

「日本では機密情報が漏れないよう、外部の人間は立ち入り禁止という環境下で仕事に追われていました。四六時中白衣を着て、研究室から出られない日もしばしば。しかしアメリカの研究者たちはジーパンにTシャツというカジュアルな服装で、職場でカメや熱帯魚を飼っている人もいる。そして金曜日の午後になるとパーティに出掛けていく。私は『遊んでいていいのか?』と驚きました」

アメリカではすでにCRO(医薬品開発業務受託機関)が導入されており、製薬会社が一部の開発を外注するスタイルが確立されていた。新しいアイデアを製品化するバイオベンチャーが次々に誕生し、製薬業界は活気に満ちていた。

「よくよく考えると、我々のような業界はこれまでにない製品をつくっていかなければならない、まさに創造性が必要不可欠な世界。だからこそ好きなものに囲まれ、上手に遊びを取り入れることで、アイデアが生まれる状況をつくっているのだと気づいたのです」

日本の製薬業界こそ、クリエイティビティを高める環境が必要だと身をもって実感した中村は、その後、日本初となるCROビジネスの開拓へと動き出す。

そして23年間勤めた会社を辞め、92年にシミックを設立。薬事法の改正などさまざまな困難を乗り越え、医薬品の開発、製造、営業を総合的に支援する製薬企業のパートナーとしてCRO事業を開始した。

業界のリーディングカンパニーへと成長した現在、中村は76歳を迎えた。彼はいまなおアンテナを張り巡らせ、ベンチャーとの共創などにより新規事業に取り組んでいる。

社員一人ひとりが持つ「PBV」を高めることが、人々の健康価値の最大化に


シミックホールディングスは、従来の医療に基づく治療・予防、未病といった既存概念の枠を飛び越えた、新しいビジネスモデルを打ち出した。個々人の健康価値の最大化を目指す「パーソナル・ヘルス・バリュー・クリエイター(Personal Health Value Creator、以下PHVC)」というものだ。病気を治すだけではなく、誰もがその人らしい人生をまっとうするために、ヘルスケア領域を拡充させ、個人に根ざした健康を目指していくという。

PHVCの実現にあたり、中村はまず自社の全社員に対する個人の企業価値、パーソナル・ビジネス・バリュー(Personal Business Value、以下PBV)を高めることに着目した。

「ヘルスケアに新たな領域をつくるためには、全社員が新規事業を生み出していける環境をつくることが大切です。そのためには、企業として60%の実績に加え、40%の可能性のなかに新たな視点を見出すべく、笑顔や粘り強さ、追求心といった個人がもっている価値を活かすこと。そしてその価値を最大限に活かせるようにサポートすること。社員一人ひとりのPBVを高めていくことが、企業が大きく前進する力になると考えています」

シミックホールディングスは23年6月、山梨県北杜市にヘルスケアの未来を創造するための施設「Yuzuriha」を設立。中村はこの場所を「Future Design Lab.」と呼んでいる。

施設内には中村が敬愛する画家、キース・ヘリングの絵画が飾られ、ミーティングルームの他に、ビリヤード場、宿泊施設、多くの人が集まれるウッドデッキなどを有している。窓からは大きな木々が望め、ときには敷地内にある乗馬クラブの馬たちが横切ることもある。

シミックホールディングス CEO 中村和男

シミックホールディングス CEO 中村和男


「Yuzurihaは部屋ごとにアートやインテリアが異なり、それぞれ違った雰囲気の空間となっています。木製のテーブルやチェアは、すべて京都の職人の手作り。一歩外に出れば自然との一体化を実感することもできます。こうした環境はすべて、訪れる人々の五感を刺激するための仕掛けになっています。

コロナ禍ではリモートワークなどの新しい働き方も生まれましたが、対面で熱量を感じながら議論し合うことも重要なことであるとわかりました。Yuzurihaでは会議をしたり、食事を楽しんだり、ちょっとしたブレイクに自然を散策することもできる。クリエイティブな発想を生むためには、まず、ポジティブであること。そうしたマインドに自然とスイッチできる空間こそ、これからの時代に必要だと思っています」

都会の喧騒から離れ、豊かな自然に囲まれたYuzurihaで過ごす社員たちは、過ぎゆく時間を楽しんでいる。新規事業の構想に真剣に意見を出し合い、煮詰まったら外に出て澄んだ空気を吸い込む。熱い議論を交わし合っていた者どうしも、ブレイクタイムにはにこやかに笑っている。こうした時間を過ごすことで、一人ひとりの根底にある優しさや探究心、粘り強さといったPBVが表面化され、仲間と共有し合うことができるというわけだ。

「私は肩書きで呼び合うことをよしとしていません。肩書きは役割であって個人とは関係がない。社長、部長などと呼び合うことは部下との間に壁をつくることになり、多様性を認め合うことができなくなる。それはとてもナンセンスですよね。年齢や肩書き、立場といったものを超えて、人と向き合いたいと思っています」

またYuzurihaは、国際交流の場にもなっている。グローバルに事業を展開するシミックホールディングスでは、海外から客人を招くことも多く、屋外でパーティを楽しむこともある。

「会社を継続していくためには、グローバル視点で物事を捉えることが大切です。世界から見た日本の立ち位置を意識し、最先端といわれる技術や価値観などをキャッチしていく。そのために大事なのは高度な情報を持っている方々と接点をもつことです。パーティ文化は高度人材が集まる貴重な体験。Yuzurihaが革新を生み、より加速していける場になることを期待しています」

誰もがその人らしい人生をまっとうできる幸せな社会を目指す


PHVCの実現に向け、中村が大切にしていることがもうひとつある。それは、厳しい時代を生き抜くすべての人が生きがいを持つこと。日本独特の表現である生きがいは、「IKIGAI」としていまや世界で注目されている人生哲学だ。

「例え持病を抱えている人でも、どれだけ生きがいを感じて生きているかが、心の豊かさに繋がります。医療の世界では、最先端のテクノロジーを使った個別治療が可能になったことで、その治療をするかしないか、という選択ができる時代になった。そのとき、生きがいを軸に考えると、ただ闇雲に治療をすることがその人にとって幸せとは限りませんよね。私は社会にインパクトを与えられる企業こそ、生きがいが感じられる社会を創っていくことが大切だと思っています」

IKIGAIには、好きなこと、そして得意なことを持つこと、社会と関わりあうこと、インセンティブを受けられること。4つの要素が欠かせないと中村は考えている。インセンティブには金銭的な報酬も含まれるが、人から感謝されるといったよろこびも包括している。

「超高齢社会となったいま、年配者こそがいきいきと生きていける環境が必要です。田舎にいけば大企業の役員だった人が好きな畑仕事をして、ご近所で分けることでよろこびを得ている人もいる。逆に都会にいても、若い人たちとバンドを組んで刺激を受けている人もいる。こうしたIKIGAIという切り口のなかで、その人らしい人生をまっとうする。そのためにヘルスケアができることはなんだろうと考えていくことが、我々のソリューションに革新をもたらしていくのです」



最後に、今後の展望について尋ねると、Yuzurihaがヴィレッジの起点になるような世界観を創っていきたいと笑顔を見せた。

「海外では、シティで仕事を終えてカントリーに戻ってきたワーカーが、週末になるとみんなでぶどうをつくって収穫してワインを飲む。そんな日常が当たり前の国もある。リアルな村をつくりたいという話ではなく、そんな豊かさを育めるような世界をつくっていければと思っています」

東京やニューヨークといった都心部だけが発展の地ではなくなったいま、自分らしい人生をまっとうできる拠点を複数もち、その土地のにおいや風、空気を感じる。それがクリエイティビティを刺激し、個人の価値を高め、IKIGAIを感じられる人生につながっていく。こうした好循環をつくることがヘルスケア領域にとどまらない、新しいビジネスを生み出していくのだろう。

Promoted by シミックホールディングス | text by Rikako Ishizawa | photographs by Munehiro Hoashi | edited by Aya Ohtou(CRAING)