事業ステージの変化とともに、多様な人材が公平な機会のもとで長く活躍できる職場づくりを進めている。連載1回目では海外拠点開設を通して得たリアルな課題感をもとに、多様な働き方やキャリアアップを支援する福利厚生制度「カナエル」を導入するなど、現在進行形でダイバーシティへの取り組みを推進する姿を伝えた。
本稿では、同社で管理職として活躍する3人の女性社員に、自身のキャリアや業務を支えてきた制度・カルチャー、今後の課題について話を聞いた。
自由度の高いカルチャーのもと、各々がデザインできる自分らしいキャリア
荒井 栞(以下、荒井):私はラクスルが3社目ですが、入社の決め手になったのは、プロダクトエンジニアとしてチームで開発できる環境と、ITの力で既存産業にイノベーションを起こすという事業内容でした。もともとtoBの商品やサービスの設計に関わり、ビジネスをよりスムーズにするサポートがしたいと思っていたので、企業向けDXに取り組めるラクスルに魅力を感じました。石田 朝子(以下、石田):私の場合、前職はベンチャー企業で創業から14年在籍しました。上場や人事組織の立ち上げを経験し、事業や企業の成長とともに充実感もありましたが、40歳を過ぎて「自分の役割を一つ果たし終えた」と感じたのが転職を決めた理由のひとつ。もうひとつは、新たな環境においても「企業や社会に貢献し続けたい」と思うなかで、ラクスルのVisionに共感したことが理由です。入社した2021年当時は長女が中学受験に挑むタイミングだったのですが、リモートワークにより、そばでサポートできたこともありがたかったです。
福本 有沙(以下、福本):私は長年大手PR会社で、さまざまな企業のコミュニケーション戦略やプロモーションを手がけてきました。数年単位で関わることも多く、最新の情報をキャッチしながら多くのプロジェクトを動かす仕事は充実感がありました。一方で、中にいないと分からない数字連動など、PRによって生まれる効果を長期スパンで把握し自ら動かしていきたいという思いがありました。
ラスクルは、前職で担当した島根県の「Ruby biz グランプリ」の仕事のなかでグランプリスピーチを聞き、サービスの新規性が面白いという印象を持っていました。その数年後、PR視点をベースにしたマーケティングポジションの求人を知り、カジュアル面談を受けたのが入社のきっかけです。当時は子どもがまだ1歳だったので、働きやすさという意味ではフレックス制度も魅力でした。
福本有沙(ふくもと・ありさ)◎2019年入社。PR マネージャー。大手PR代理店や出版社で幅広いキャリアを積んだのち転職。子どもの小学校受験に向けたサポートを行う日々。
石田:フレックスといいつつ実態は理解が得られにくいといった会社も少なくありませんが、ラクスルは制度がリアルに活用されています。私の場合は子どもが中学生と小学校高学年なので、丸1日休みたいというよりは、子どもの学校の保護者会や面談などでスポット的に抜けたいというケースが多くあります。そんなときもフレックス制度やリモートワークのおかげでストレスなく調整できています。
福本:社内には、夜に家族との時間をつくろうと朝早く出社する人、海の近くに移住して早朝にサーフィンをしてから仕事をする人もいて、それぞれのスタイルに合わせて働ける会社だと感じます。また、チャットツールのSlackの利用が活発で、お互いの状況を把握しやすいのもラクスルならではという気がします。
荒井:確かに、Slackで各自が進捗を伝え、滞りなく業務を進めようとするカルチャーは強いです。エンジニア間はもちろん、オペレーションチームとエンジニアなど部署を越えたコミュニケーションを重視し、お互いにかかわり合う姿勢があります。
働きやすさに直結する「制度は活用されてこそ意味がある」という思想
石田:ラクスルは男性社員の育児休業取得率が73%と高いですよね。私が所属するコーポレート部門は比較的女性が多く、それぞれが制度を活用していますが、荒井さんの部署にいるエンジニアの男性陣はいかがですか?荒井:子育て世代がメインということもあり、エンジニアの男性陣も制度を活用している人が多いです。たとえば、コアタイムが16時までなので、そこで一度お子さんを迎えに行き、お風呂に入れたり夕食を食べさせたりしてから戻ってくるケースが多いです。また、私がチームを組んでいた上長のパートナーが、出産直前に体調を崩されたとき、周囲のスタッフから自然と「介護休業制度を使って、ご家庭優先で奥様をサポートしてあげてください」という声が上がりました。周囲が快く送り出してくれたことで上長も救われたと思いますし、私にとっても印象的な出来事でした。
石田:制度は使われてこそ意味があると思うので、男女問わずロールモデルが多いのは素敵なこと。出産や育児に限らず、一人ひとりの思いや状況を尊重する空気を感じますよね。
荒井栞(あらい・しおり)◎2018年入社。Raksul/Technology/Engineering, Core Print/DTP Development マネージャー。管理職ながら、エンジニアとしての専門性を高めることにも注力。
荒井:制度がただ整っているのではなく、活用するカルチャーが根付いているのもラクスルの良さです。以前働いていた会社は昔ながらの体質で、「母親には母親らしい働き方を」というマミートラックが当たり前のようにありました。ラクスルで男性が積極的に育児休業を取得する姿を見ていると、どんな人にとっても働きやすい環境だと感じます。もちろん業務においてもジェンダーによる違いはありません。
石田:マネジメント層が、従業員の子どもの有無を理由に業務の調整や制限をすることはありません。本人がどんな状況であれ、いったんはアサインの場に名前は上がります。一方で、たとえば出産直後など、女性にはどうしてもアクセルを踏めない時期があるのも事実です。
福本:「人事にジェンダーバイアスをきかせない」ことの側面ですよね。ただ、そういう時も自分軸で考えながら、どうしても難しい部分を上司と相談して調整していける環境は整っていると感じます。
石田:そうですね。ラクスルは全社的にDE&I研修に取り組んでいるので、そうした積み重ねから生まれる気づきが、会社のカルチャーを醸成している面もあると思います。
福本:福利厚生制度の「カナエル」には、産前産後休暇や育児休業から復職した際に祝い金を受け取れる「産育休復帰祝金制度」がありますが、これは会社からの「戻ってきてね」というメッセージだと感じます。当事者は「会社が自分を受け入れてくれる」と感じられ、復職への精神的なハードルもぐっと下がるはずです。
荒井:会長の松本さんやCEOの永見さんも、過去に育児休業を取得していますよね。制度の必要性を実感している人が経営陣にいることへの心強さもありますね。
石田:だからこそ、たとえ制度がなかったとしても「こういうときはどうすればいい?」という相談や意見を伝えやすい空気があるし、会社側も「そういう観点があるのか」と受け止めて柔軟に調整しようとする姿勢を感じます。
安心して働ける環境が支える女性管理職、三者三様の現在地
福本:実は 今、子どもの小学校受験に向けて準備中です。早朝に起床し、始業を少し遅めに設定することで、朝の時間を活用し子どもと学習しています。フレックス制度やリモートワークを使って柔軟に業務に対応できるので、自分の時間の使い方次第で、やりたいことを諦めずに選択することができています。私はずっと仕事を続けていきたいと考えていますが、この環境なら叶えられる気がしています。荒井:昔ながらの体質の企業に在籍していたこともあって、ラクスルに入社するまではキャリアプランがあまりイメージできないまま、「ライフステージによっていつかは仕事量をセーブするのかな」と考えていました。しかし入社後は、常にアクセルを踏んでいます(笑)。ラクスルには、再現性ある仕事を心がける文化があり、現場を離れることになってもサポートしてもらえる安心感もあるので、自分のタイミングでライフプランを選んでいこうと思えるようになりました。
石田朝子(いしだ・あさこ)◎2021年入社。Corporate Development & Planning/IR & ESG マネージャー。中学生と小学生の娘を持ち、子育てが一段落したタイミングでラクスルへ転職。
石田:私の場合、子どもがまだ小さい頃は社会から切り離されてしまう恐怖から、「早く自分のことに時間を割きたい」という気持ちが強くありました。しかし、子どもが大きくなるにつれて子育てにおける新たな向き合い方や楽しみが生まれてくる。今は、「仕事」も「子育て」も含めた“自分”を楽しもうとようやく思えるようになりました。そう思えるのは、足枷となるような不安を払拭してくれる環境が大きいと感じます。
伴走的なアプローチで、さらなる女性管理職の登用機会創出へ
石田:2022年に現・上級執行役員CHROの潮﨑さんがジョインしましたが、これから女性管理職が増えるには、伴走的なアプローチが必要だと思っています。福本:メンター的な存在ということですよね。
石田:そうです。マネジメントにアサインされる時点で適性と周囲からの信頼を持ち合わせているわけで、「前向きに考えたい」と思っている方を後押しするような支えがあるといいですよね。
荒井:確かに経営やマネジメントにおけるオンボーディングは必要ですし、会社としてもまさに力を入れているところだと思います。母数となる女性プレイヤー数を増やすのと同時に、潮﨑さんのようにマネジメント層の女性が増えていくことも大切。男性経営陣が女性のことを考えられていないというわけではなくて、その立場に女性がいることで従業員も心理的に変わってくる部分があるはずです。またこれまでの「育った人が管理職になる」というスタイルから、「管理職に就くように育てる」スタイルへの変化が必要になると感じます。
石田:いまのラクスルは、これまでの個人が旗を掲げるベンチャースタイルから、組織で戦うためのマネジメントへとステージが変わっている段階です。マネジメントの方向性やスタンスをつくっていく過程で、さらに働きやすい制度や仕組みの提案・導入が進んでいくとと思っています。
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