名古屋市の中心部である栄地区。緑豊かで整然とした街並みに、自然の彩りを与えるアイコンは、久屋大通公園。その自然環境に寄り添うように公園から続く緑を建物の中にまで引き込み、セットバックして立っているのが、ラグジュアリーホテル「TIAD(ティアド)」である。
2023年7月1日(土)にグランドオープンを迎える同ホテルは、「ザ・リッツ・カールトン」や「シェラトン」などを擁するマリオット・インターナショナルの「オートグラフコレクション」に、東海エリアではじめて認定されたホテルだ。
TIADはまったく新しいホテルブランド。その世界観を体感できるサロンを早くから開設していたこともあり、すでに宿泊や婚礼の予約で嬉しい悲鳴が聞こえているようだ。
名古屋という都市の魅力に、新たにラグジュアリーという1ページを書き加えるTIAD。その人気の理由は、いったいどこにあるのだろうか。
自然とつながるぜいたくな時間を体現
「TIAD」の由来は、コンセプトの「TomorrowIsAnotherDay(ゲストの明日が変わる)」の頭文字だ。「穏やかな時間と自然との共生体験に身を委ね、TIADだからこそ体験できるサービスを堪能し、チェックアウトの際には晴れやかな気持ちに包まれている。そんな空間をご用意します」そう語るのは、これまでのラグジュアリーホテルでの経験と知見をもとに、TIADの総支配人として就任した中澤旬史である。独立系ホテルとして、テナントを入れることなくすべて自社で土地・建物、サービスまで手がけていることが、TIADを特別な空間にしているのだと同氏は語る。
「名古屋は、関西・関東エリアどちらにもアクセスが容易なうえに、今後も独自の発展を遂げていく確固たる産業基盤があります。この名古屋のさらなる繁栄の一翼を担うような、世界水準のホテルをつくり上げました。なかでも、力を注いでいるのが“人で選ばれるホテル”であること。TIADが理想とするサービスを実現するために、志の高いスタッフを全国から集め、これまでグループが培ってきたホスピタリティ水準と、一流ホテルの接遇マインドを融合した全く新しい教育マニュアルを実践しています。さらには、ホテル内の日本料理店の料理長は、TIADのコンセプトを、料理を通して表現できる人財を全国から呼び寄せています」
東海地方では初となるバレーサービスやゲストの滞在を快適にするバトラーサービスの実現にも、高水準の接遇スキルが要求されるのだという。
施設自体も、エントランスでバンケットと宿泊ゲストの動線が重ならないよう入り口が分けられており、私的で豊かな時間の演出に余念がない。だが、ここまでたどり着くには、思った以上の時間がかかったと中澤は語る。
「TIADの計画自体は16年に始まっていましたが、建設業界の人材不足や資材高騰の影響をはじめとする諸問題が重なり、当初の開業予定からは大きく遅れることとなりました」
しかしその時間は、逆にTIADの幸運につながっていく。コロナ禍の収束、インバウンドの復活という絶好のタイミングでの開業となったからだ。
冠婚葬祭事業を全国展開し、精力的なM&Aで拡大を続けている日本セレモニー。その創業者・神田忠の長年の思いとして、このラグジュアリーホテルプロジェクトは始まった。それが、愛知県と名古屋市のニーズと合致して転機を迎えた。
「愛知県および名古屋市が地域ブランド向上のために、19年に高級ホテル誘致促進へと踏み切ったのです。『高級ホテルを新設する事業者に対する補助金制度(高級ホテル立地促進補助金)』を設立し、22年には、私たちTIADが第1号事業として認定されました。そういった経緯もあり、この地域への具体的な貢献についてもより深く考えるようになりました」
TIADの地域への思いは随所にわたるが、象徴的なのが、「オールデイダイニング」で供される地産食材を使用したジャンルレスの料理だ。その特徴について、フランスのミシュラン星付きレストランで腕を磨いた、エグゼクティブシェフ・片岡晃治に聞いた。
「どうしたらゲストの明日が変わるのか。料理で答えを出すのが私の仕事です。例えばこの『豊田産牛の醤油粕マリネ』は、本来食用に向かない経産牛の肉を使っています。SDGsの視点からも注目を集めている食材で、サムシングローカル。興味深い選択肢の一つとして腕が鳴ります」
最後に中澤に今後の展望を聞いた。「『ゲストの明日が変わる』サービスとは、すべてのお客様で答えが異なるものです。言い換えれば正解がないサービスを提供すること。常に個々のお客様のニーズに寄り添った、最上のサービスを模索し続けていくことが、TIADの使命です。この使命を追求し続け、名古屋で唯一無二のホテルとして世界に認められたいと思います」
TIAD,AutographCollection(ティアド)
https://hotel-tiad.com/