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2022.12.19

英・仏での展示会出展で得た、早川しょうゆみそ7代目の成長につながる新たな気づき -経営者同士の経験のシェア「お悩みピッチ」お悩み人のその後【後編】-

経営者同士で日々の課題を共に考える場として、Forbes JAPANとアメリカン・エキスプレスがタッグを組み、2020年より開催してきた「お悩みピッチ」。これまで、たくさんのお悩みを持つ経営者(=お悩み人)が自身の悩みや困り事を発表し、お助け隊と参加した規模や業界が異なるさまざまな経営者が自らの経験をもとにアドバイスを送ってきました。

そしてその本質をまとめた「虎の巻」をローンチした今年は、より多くの経営者に「お悩みピッチ」を活用してもらうべく、発信をしてきました。

前回に続き、今回は過去に「お悩みピッチ」に参加した「お悩み人」のその後の活躍を紹介します。

2021年のお悩みピッチに参加した早川しょうゆみその早川 薫さん。当時、今年開催された英国の大型展示会への商品出展のため、会社や商品に関する「ブランディング」のお悩みを抱えていました。

年代も業種も違う経営者たちから受けた経験のシェアによって大改革を実行した早川さんは、ついに英国とフランスでの展示会に出展しました。参加したことで得られた成果や新たな気づきはあったのでしょうか。帰国後の早川さんに、話を聞きました。


自ら、気が抜けないシチュエーションをつくる


──まずは、英国の展示会について教えていただけますか。

 早川 薫(以下、早川):最初に感じたのは、想像以上に「味噌」が知られていたことです。「味噌を知っていますか?」と問いかけると、「味噌スープでしょ?」と。今回の渡英で町をめぐって気付いたのは、日本食のテイクアウト店が至るところにあること。価格帯も地元の飲食店と大差なく、昔の日本食よりだいぶ安くなったと思います。日本食がだいぶ根付いてきているのかなと感じました。

ただ、「味噌」だけでは伝わらず、「味噌スープ」と言って伝わる、というのが現状です。「味噌」単体ですと、また違うニュアンスになるのかもしれません。



──今回持参された「ロック味噌」は、通常の味噌とはだいぶ異なる印象を与えるものかと思います。反響はいかがでしたでしょうか。

早川:「削る」形にしたのは、正解でした。チーズなどに用いられるので、グレーター(チーズを削る機械)は現地で馴染みのあるもの。一緒に見せることで、どう使うのかすぐに理解してもらえました。やはり言葉だけの説明ではなく、視覚から入る情報量って違いますね。

展示会では試食をしていただくことができず、香りを楽しんでもらうまでにとどまりましたが、今回のために作ったプロモーション動画を見てもらうことで、味わいの魅力や楽しみ方は伝わった、という実感がありました。「美味しそうだね」「まるでチーズみたいだ」といった満足いくリアクションをいただけました。

──次のアクションに向けたヒントは得られたのでしょうか。

早川:
販売してもいいレベルのものなのかどうか、が分かりました。英国では、削る食材やグレーターがどこの家庭にでもあるほど普及しているので、ここなら「ロック味噌」のような商品は浸透しやすいだろうと感じました。それに、そもそも味噌とチーズは相性がいいので、同じ売り場で展開できたら面白いのではないかと思いますし、今後はバターなどの乳製品と味噌をつなげられるような提案もできたらと考えています。

出展時に次のアクションにつなげるところまで至ったケースはありませんでしたが、他に出展されていたチョコレートやミルクなど食品関係の方々とはご挨拶ができたので、今後うまくコミュニケーションがとれたら、面白くなるのではと可能性を感じています。定期的に情報発信をしながら、着実につなげていきたいですね。

──昨年のお悩みピッチでは「ブランディング」についての悩みを相談されていましたが、展示会でブランディングへの評価はいかがでしたでしょうか。


早川:実は、主催者側から一番好評だったのが、僕たちのブランディングへの取り組みだったんです。1からチームを立ち上げてつくったプロモーション動画やパンフレットが、運営側から高い評価を受けました。動画を見て、すごく分かりやすかったと言ってくれて、こうしたイベントに出るに値するクオリティと伝統を持っている、本当に招待して良かったと歓迎してもらいました。



ブランディングチームを社外につくったことで、自分とチームメンバーとがフラットな関係性になりました。目的達成に向けてプロフェッショナルに集まってもらうということは、自ら、気が抜けないシチュエーションをつくるということでもあります。自分に対して仕事で求められるクオリティも高くなりましたし、それを機にさらに上の世界で物事を見ることができるようになったと思います。ものすごく忙しくなったんですけどね(笑)。それに、忙しいことは良いことですよね。やらなければならないことが目の前にあるのは、事業者にとっては幸せです。この取り組みはお悩みピッチでの相談を機に変革させた部分だったので、評価されたことはとてもうれしかったです。ブランディングを変えたからこそ、インプットできたことも、生まれたアイデアも多かったと考えています。ブランディング自体もさらなるアップデートを考えていますし、継続することで、こうしたイベントに再び招待してもらえるようにしていきたいです。

海外で現地人のように過ごすことで見えてくるマーケット


──英国だけでなく、フランスでも出展されたとのことですが、初めての海外出展で得られた気づきはありましたか。

早川:海外に持っていくだけではダメで、いかにローカライズをしていけるか、やはり現地に思考を合わせないといけないなと改めて感じました。現地に同行いただいた方の一言、「海外での楽しみ方は、いかに現地人のように過ごせるか」というのが印象に残っていて、その感覚でマーケティングをしていくと、すごく面白いのではないかなと思ったんです。

例えば、夕食を食べるのは外食中心なのか、持ち帰るのか、自炊するのか。町を見渡してお店の種類や数を見れば、その土地の方々の食事傾向が何となく分かってきます。アジアならほぼ外食ですし、日本なら自炊も多い。もちろんエリアによっても変わってきますが、今回滞在したロンドンとパリとではまったく違うように感じました。ほかのエリアに行けば、また違うのかと考えたときに、マーケットの入り方として重要な部分になると気づきました。 

また、仮説を立てて現地に赴いたからこそ、自分の中の何が合っていたのかを深く掘り下げられたという点も、大きな成長につながったと感じています。

仮説通りだったのは、料理人の方がパフォーマンスに対してコストをかけることです。英国の後に出展したパリの展示会で「ロック味噌」を提案したら、ミシュランの星を持っている店が「どこで買えるの?」と質問してくれたり、独立を考えているという、有名シェフの料理学校で講師をされている方から「買いたい」というお話をいただけたりと、料理人の方々の反応はとても良かったですね。

商品や資料を見ていただいた相手のリアクションは、「高そうな調味料」。味噌は、日本人にとってはどこの家庭にもある、ごく身近な調味料です。ただ、味噌を習慣的に食べる文化のない国では、その価値・評価自体がまだ定着していません。だからこそ、わざわざ食べてみたい、わざわざ使ってみたいと思ってもらえるようなイメージ戦略が重要だと考えていました。結果、「安いものではない」と一目で伝わったので、ブランディングの観点で言えば成功です。

新しい味噌文化を世界に広げる


──今回の経験で、新たに浮かび上がった課題はありましたか。

早川:商品が決まって、ブランディングの方向も定まった。でも、その後が難しいなと。今回の海外出展で、社内でのチーム作りなど、もう一段階ステップを上げていく難しさに改めて気づかされました。これはお悩みピッチでもアドバイスいただいた部分で、まだまだうまくはいかないものの、会社、社員のDNAを育てていく最良の時期だというのが実感できました。

いま、これまでにないような大成功まで持っていけるかどうか、会社の歴史の中でも非常に重要な局面に来ていると感じています。お悩みピッチの際に佐藤繊維の佐藤正樹さんがおっしゃっていたとおり、その成功までの道のりを一緒に楽しんでくれる社内のメンバーを増やしていくことが、すごく大事なんだろうなと思うんです。社員にとっても大きな成功体験になるはずですし、それを感じてくれた人たちが、会社に長く残ってくれたり、意欲的に新たな挑戦をしてくれたりするのだろうなと。……分かってはいるのに、本当に難しいんですよ。

失敗しないよう慎重にやらなければならないし、ひとりで走りすぎて人が去るのは絶対に避けないといけない。これからの一挙手一投足が、未来に大きく影響する。そんな時期にいま、立っているのだと思います。



──最後に、今後チャレンジしてみようとしていることを教えていただけますか。

早川:ほかの味噌会社との連携です。フランスの展示会で、共同出展していた味噌会社の方々から「うちの味噌も粉末化できない?」と、何度も声を掛けられたんです。先々はうちの技術を提供して、他社の商品化にも協力していきたいと考えています。

それに、将来的にはフランスのワインのように、職人の技術を土壌にした地域ごとの味が楽しめる「味噌のテロワール構想」を実現したいと考えています。例えば、赤ワインなら肉料理と合わせる、白ワインなら魚料理と、といったように、米味噌パウダーならあの料理に、八丁味噌パウダーならこの料理に、となるような新しい味噌文化をつくりたいですね。

ただ、これは当社だけで頑張っても、文化にはできません。当社が粉末化のプラットフォーマーになり、さまざまな会社の職人さんと連携して、新しい食文化を提示できたらいいと思っています。業界全体を底上げするためにも、職人の皆さんの評価を上げるためにも、世界に向けて味噌を「スパイス」として売っていく新しいスパイス戦略として、絶対にやらなければならいことだと自分の中に刻んでいます。

──スパイス戦略とは、日本だけでなく、世界に向けて味噌を広げていくということかと思うのですが、どのように提案することを考えていらっしゃるのでしょうか。

早川:個人的には、味噌が日本食として世界に広がるのはすごくいいと思っているものの、「味噌」の立ち位置を大切にしていきたいと考えています。味噌は素材を活かすためにある、“陰の立役者”のような存在であり続けてほしい。

その立ち位置をぶらさずに、さまざまな国でおいしいと言われている料理や商品が、実は味噌が入ったことで評価が変わったものになっているといったような、そんなマジックスパイスのような存在になってくれれば、とても“クールジャパン”じゃないですか。 

さまざまな国に味噌が輸出されていき、使われて、その国のものがどんどんおいしく、人気になっていく。それが味噌業界の一人として、私が一番に目指している世界です。


大きな挑戦を前に期待と不安をそれぞれ抱えていた早川さんは、より明確になった“味噌文化を世界に広げる”というビジョンとともに、早速、海外企業とのコラボレーションに向けて、プロジェクトを動かし出しているそうです。

同じ経営者に悩みを吐露したことを機に、経営者としてどんどん成長していく早川さんと早川みそが次にどんな挑戦をするのか、とても楽しみです。

お悩みピッチは、悩みを共有し合い、参加することによって共に一歩前進するための場です。「虎の巻」を参考にぜひ、この「場」を体験してください。Forbes JAPANとアメリカン・エキスプレスは、これからもお悩みピッチを通して経営者同士の助け合いが広がっていくことを心から願い、成長を目指す、すべての経営者をサポートしていきます。 


過去のお悩みピッチはコチラ↓
https://forbesjapan.com/feat/amex2021_onayamipitch/

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アメリカン・エキスプレス

Promoted by Amex / text by 中村大輔 / Photographs by 早川しょうゆみそ / edit by 千吉良美樹

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