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2022.11.14

早川しょうゆみそ7代目に起こした変革と成長 -経営者同士の経験のシェア "お悩みピッチ"お悩み人のその後-

経営者同士で日々の課題を共に考える場として、Forbes JAPANとアメリカン・エキスプレスがタッグを組み、2019年より開催してきた「お悩みピッチ」。これまで、たくさんのお悩みを持つ経営者(=お悩み人)が自身の悩みや困り事を発表し、お助け隊と参加した規模や業界が異なるさまざまな経営者が自らの経験をもとにアドバイスを送ってきました。

その本質をまとめた「虎の巻」をローンチした今年は、より多くの経営者に「お悩みピッチ」を活用してもらうべく、発信をしてきました。

今回は、過去に「お悩みピッチ」に参加した「お悩み人」たちのその後の活躍を紹介します。

2021年のお悩みピッチに参加した早川しょうゆみその早川 薫さん。当時、今年開催された英国の大型展示会への商品出展のため、会社や商品に関する「ブランディング」のお悩みを抱えていました。年代も業種も違う経営者たちから受けた経験のシェアはその後、自身や会社の経営にどのように活かされたのでしょうか。その展示会に参加を控えた出発前の早川さんに、話を聞きました。




お悩みピッチで得た気づきと、思考と行動の変化


──お悩みピッチには「ブランディング」をテーマに参加されました。そこで得た気づきから、ご自身に変化はありましたでしょうか?

早川 薫(以下、早川):お悩みピッチに参加して一番重要だったと感じている気づきは、「ひとりでやってはいけない」んだ、ということでした。それがすごく、刻まれたんです。

お悩みピッチに参加した際、「海外出展に向けたブランディング」というテーマで悩みを聞いていただきましたが、皆さんと対話を進めるうちに、自分が最もやりたかったことは会社の伝統をPRすることであり、100年続く企業をつくることなんだ、ということを再認識しました。もちろん、英国での展示会は会社の歴史に刻まれるような事業ですので、その目標に向けて、とても大きな転機になる可能性は高い。だからこそ、皆さんからアドバイスいただいた通り、ひとりでやるのではなくチームをつくるべきなんだということに気づけたものの、いますぐ選任のチームをつくって対応していけるのかといえば、正直難しいと感じました。

それに、もし従業員に「海外進出に向けた相応しい人材」になるよう強いれば、それはきっと足かせになってしまうでしょう。都市部であればとてもやる気が出るとことだとは思いますが、地方で働く人にとって急に世界に出るぞと言われても、モチベーションになるかどうか疑問もありました。

そこで、改めて自分がやりたいことを考え直してみました。そして、チームづくりの考え方自体を変えてみたんです。ひとりで社内でなんとかしようと思うことをやめ、社外で意気投合できる方々とやっていく方針に切り替えて、ブランディングチームを社外につくることにました。同じ信念を持ってくれる人たちを集められれば、それが会社のブランディングにも伝播して、外にも内にも広がる可能性があるのではないかと。これはお悩みピッチの参加がきっかけとなった、ターニングポイントだったと思います。それに、お助け隊の方々に「失敗はない」という言葉をいただけたことで、やれることは全部やっちゃおうという気にもなれましたね。失敗から生み出した答えが成長させてくれるし、必ずしも結果を出すことが重要なわけではない、という言葉に励まされたんです。

──当時と思考がガラリと変わった印象がありますが、お悩みピッチのように経営者同士で相談し合うことの大切さについて、現在はどう思われていますか?

早川:とても大切なことだと思いました。経営者や大人は“答えを持っている人”という固定概念があったんですね。それがすごく刷り込まれていて、学生を終え、社会人になってもそのままだったんです。自分が経営者の目線で立つことになったら、いきなり答えを教えてくれる人がいなくなりました。

でも、お悩みピッチに参加したことで、先輩経営者の方も含めて実はみんな同じで、大人だって悩むのは普通のことなんだと理解したんです。そうした感覚に切り替えられたので、だいぶ気持ちが楽になりましたね。特に、答えを探し続けている先輩経営者の方々との対話がものすごく大事だと改めて感じました。

──当時を振り返って、お悩みピッチでお助け隊をされていた経営者の方々は、どのような存在だったと思いますか?

早川:ティーチングというよりも、自然にコーチングをしてくださる方々でした。「自分の場合はこうだったけれど、あなたの場合はこれを参考にしてどう思いますか?」と、導いてくださった。自分の深層心理にある思いをうまい具合に拾い上げてもらえたようで、壁打ちを上手にしてもらえた感覚になりました。

そもそもぶつける壁が低いと高くは投げられないですし、信頼できる壁じゃないと壁打ちはできません。「高く、信頼できる壁」である先輩経営者の皆さんへの壁打ちはすごく楽しいものだと知ることができたとともに、あの時のお助け隊のメンバーが本当にすごい方々だったんだと、後日改めて感じました。加えて、私はまだまだ全然勉強量が足りない、まだ誰かの壁になることはできないなとも痛感しましたね。

──お悩みピッチ後、お助け隊として参加されたコエドブルワリーの朝霧重治さんに会われたそうですが、 どのようなお話をされたのでしょうか?

早川:「どうやってコエドブルワリーを広げていったのか」「現状で自分がやっておかなくてはならないこと」などを伺いました。ご自身の苦労話を楽しく話される方なので、お悩みピッチの延長線のような感じでしたね。

それに、食品や海外に精通されている方々もご紹介いただきました。面白いことに、今では朝霧さんよりも頻繁にその方々と連絡を取り合っているくらいです。お悩みピッチがきっかけになって、ご縁がすごく広がったなと実感しました。

その際、英語で商品説明をさせていただき、その表現方法について指摘していただいたり、持参した当社の商品を試食してもらいながら食感へのフィードバックをしてもらったりと、いろいろなアプローチのアドバイスをいただきました。とにかく、とても貴重な場になりました。

自身も「壁となる」意識が芽生えた学生プロジェクト


──その後、ブランディングについてさまざまな挑戦をされるなかで、経済産業省九州局のデザインプロジェクトにも参加されたと聞きました。どのような取り組みだったのでしょうか?

早川:美術大学の授業の一環で、学生の方々と組むというプロジェクトです。学生の方々に商品開発をしてもらうのも面白いのかなと思い、一から商品を作ってもらいました。

昔は日常的なものだった味噌が、いまの若い世代には少し非日常かつ嗜好品になりつつあります。再び日常に戻すにはどういった商品があればよいのか。いままであるようでなかった商品ができたので、年内にはリリースできる予定です。



──お悩みピッチでは経営者の方とのコミュニケーションでさまざまな気づきを得たとのことですが、学生の方々とのコミュニケーションのなかでも、新しい気づきはありましたか?

早川:協業していくなかで、「詰めずに話す」ためには、どういう話し方がいいのか、コミュニケーションを取るなかでずっと考えていました。彼らにとったら自分は“大人”になるわけですから、自分が過去に感じていたように、きっと彼らも私のことを“答えを持っている人”として見ているはずです。だからこそ、コミュニケーションには慎重になりました。

学生さんたちからすると、詰めてしまうと責めているように感じ取られてしまう。ただ、「詰める」作業なしではモノは作れません。自分では先輩経営者の皆さんが詰めてくださるときは、よりよいものをつくるためのありがたいフィードバックだと受け止められますが、若い世代の皆さんからすると、否定されていると感じてしまう可能性があります。

今回の主旨は、学生の方々にスタッフとして商品開発を手伝ってもらうのではなく、学生の方々に商品開発をお任せすること。わかっていたつもりが、いつの間にか指示してしまっている自分がいて、そのときの学生の方々のリアクションを見て、「あっ、やっちゃいけないのはこれか」と気づきました。そこからひとつ一つ、毎回のフィードバックと議事録を見返すようにして、軸はぶらさず、委ねるコミュニケーションを心がけていきました。



──コミュニケーションの中で学生の方々に重点的に伝えられたメッセージや経験談を教えてください。

早川:プロジェクト中に皆さんに伝えたのは、商品開発は「不自由の自由」のなかで行うものであるということです。当社の商品は食品ですので、食品表示法や衛生的な基準など守らなければならないものがたくさんあります。そういった制限があるなかで、どれだけ自由な発想でできるのか。

ですので、初めに不自由となる条件を決めて指示を出し、後は自由に考えてもらいました。そして今回の商品開発のテーマとしたのは、「Z世代が買うのか」。学生の方々から出てきたアイデアに対して、条件に合っていないことがある場合は指摘しますが、フィードバックとしては、テーマにあっているかを尋ねるだけにしました。そうすると、学生の方々自身がそこに立ち戻ってくれるようになり、「よく考えれば、私たちは買いません」といった建設的なコミュニケーションのキャッチボールができるようになりました。

やっているうちに、どんどんブラッシュアップされていくので、委ねることに私自身が変な快感を覚えて、だんだん面白くなっていきましたね。もちろん、参加してくださったのがモチベーションの高い学生たちだったから、うまくいったのかもしれませんが、今回のプロジェクトでの経験は、今後社外の方々と協業してブランディングを行っていくにあたって、個人的にとても自信につながりました。

日本の味噌文化を背負う覚悟


──先日逝去されたエリザベス英女王在位70年を祝う「プラチナ・ジュビリー」内の展示会への参加がいよいよ迫っていますが、どのような商品を出展されるのでしょうか?

早川:今回のために新たに開発した味噌の石「ロック味噌」です。味噌なのですが、岩塩のように削って使っていただくことになります。ですので、例えば、お店で取り扱っていただく場合は、パスタの上にトリュフを削るようなイメージで料理人とお客さまがコミュニケーションを取る必要が出てくることになりますよね。そこで当社のストーリーを話していただける機会を作っていただけるようにしたいと考えています。

飲食店などお食事の場で食品メーカーをお客さまにお店から紹介するシーンって、なかなかないじゃないですか。美術館などでデザイナーが作品を鑑賞者に紹介するのと同じように、そうした場が設けられるものにしたくて。「ロック味噌」なら、そういう場が演出できるのではと考案しました。実は個人的には“アート味噌”と呼んでいます(笑)。



──「ロック味噌」(アート味噌)のアイデアの原点を教えてください。

早川:日本の職人さんが、フィーチャーされていない、という気づきでした。フランスですとワインの銘柄に職人さんの名前が付くくらい、作り手はリスペクトされているんです。でも、日本ではそういった商品はなかなかありません。同じように素晴らしい職人さんが日本にもいることを、まず世界に伝えないといけない。それを広げるためのツールは、やはり口コミではないかと。口コミで伝播させやすくするためにも、削るといったようなひと手間がかかり、そこでの会話を生むものであるべきだと考えました。

実は一度、在日フランス大使館の総料理長にロック味噌を使ってもらいました。かなり好評で、「大使館で使いたい」と言ってもらえるほどだったので自信はあるものの、海外での出店ということもあり、味噌単体のもののみだと使いにくいかもしれないので、展示会には味噌のみのものに加え、トリュフを混ぜたトリュフ味噌も持ち込む予定です。今回、イギリスだけでなく、フランスでも出店を予定しているので、そこにはフランスで好まれている山椒やユズを使った七味のようなものも作って持ち込もうと考えています。

──最後に、間もなく開催される英国での展示会に向けての意気込みを教えてください。

早川:自分自身、いつの間にか「早川しょうゆみそ」として出展するというよりも、「日本の味噌文化」を持っていくくらいに目的意識が変わってきています。やはり、国内の人口が減少していくなかで、伝統産業を今後も何百年と続けていくには世界を見ないといけません。そのきっかけになれば、というのが今回の展示会です。

そのために、味噌が世界からどのように見られるのかを肌で感じたい。正直、プレッシャーのほうが大きいので、どうにかして楽しみたいなっていうのが本音ですが、来場者や関係者の方の声や意見など聞けることは全部聞くことで、これからの味噌業界の未来をイメージできる時間にできればと思います。


1年前、海外の大型展示会への初出展に向けて、「お悩みピッチ」の場に現れたどこか不安気な様子の早川さんが思い出せないほど、とても晴れやかな表情で、来たるべき日に向けた思いを語ってくれました。

次回、展示会を終え、帰国後の早川さんに現地での様子をうかがいます。

お悩みピッチは、悩みを共有し合い、共に一歩前進するための場です。「虎の巻」を参考にぜひ、この「場」を体験してください。Forbes JAPANとアメリカン・エキスプレスは、これからもお悩みピッチを通して経営者同士の助け合いが広がっていくことを心から願い、成長を目指す、すべての経営者をサポートしていきます。 


過去のお悩みピッチはコチラ↓
https://forbesjapan.com/feat/amex2021_onayamipitch/

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アメリカン・エキスプレス

Promoted by Amex / text by 中村大輔 / infographic by 渡辺 祐亮, cocoroé / edit by 千吉良美樹

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