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2022.03.29

投資の力で未来をはぐくむ ESGを重視した経営のあり方

SDGsやESG、サステナブル経営といった言葉を、さまざまなところで聞くようになった。企業は今、経済性だけでなく社会性も求められる時代に直面している。その企業に投資する立場にある運用会社は、この状況をどのように捉え、かつ自分たちの投資行動に反映させようとしているのだろか。

Forbes JAPAN Web編集長の谷本有香が、グローバルな運用会社で構成される脱炭素のためのイニシアティブ“Net Zero Asset Managers initiative(NZAM)”に日本で最初に加盟した、アセットマネジメントOne代表取締役社長の菅野暁に話を聞いた。


谷本有香(以下、谷本):運用プロセスの一部にESGの観点を取り入れたファンドを設定されたり、また、社内でもSDGsやESGを意識した経営をされていると伺っております。まず、菅野社長がこれまで歩んで来られたキャリアから教えていただけますか。

菅野 暁(以下、菅野):日本興業銀行がキャリアのスタートで、1982年入行です。3年目に米国のビジネススクールに留学してMBAを取得しました。帰国後、資産運用業を希望して興銀投資顧問に移り7年間、日本株のファンドマネジャーを経験しました。

バブルが崩壊した1993年に日本興業銀行に戻って銀行業務に従事した後、資産運用業務の企画担当になり、アセットマネジメントOneの前身であるDIAMアセットマネジメントの設立に関わりました。

そこで2006年まで企画関連部署の部長の仕事をした後、銀行に戻って国際部門を担当し、2018年にアセットマネジメントOneの社長に就任しました。ですから、私のキャリアは資産運用業務と国際業務の二本柱ということになります。

谷本:40年間、金融の世界を見て来られたわけですが、どういうところが大きく変わりましたか。

菅野:一番大きく変わったのは、金融の形ですね。私が最初に就職した日本興業銀行は、言うなれば間接金融の雄でした。当時は個人を中心に大勢の人から預金等を通じてお金を集め、日本の戦後復興・経済成長に必要とされる事業会社などに、銀行や生命保険会社が資金を供給してきました。間接金融においては、銀行が中心的な存在だったのです。

ところが近年は徐々に直接金融の比重が高まり、金融の仕組みのなかで銀行のプレゼンスが低下する一方、年金基金などのアセットオーナーや、そこから運用の委託を受けている私たちアセットマネジャーのプレゼンスが高まってきました。

しかも、私たちアセットマネジャーは議決権行使を通じて、投資先である企業の経営にも影響を及ぼすようになりました。間接金融から直接金融に金融の軸が移るのと共に、企業経営に影響を及ぼす主体が、銀行から年金基金、機関投資家に移ってきたのです。

谷本:近年、SDGsやESGを通じて、企業に社会性を求める動きが広まってきました。とはいえ、投資家は企業に対して利益の最大化を求めます。これは企業を経営するうえで非常に難しい命題だと思うのですが、社会性と経済性をどう両立すれば良いのかについて、どのようにお考えですか。



菅野:これは、どの企業も苦労しています。サステナビリティ経営の推進という点では、ユニリーバやダノンが有名ですが、ユニリーバでCEOを務めたポール・ポールマンは当時、株主から経営方針がぬるいと言われていました。

それに対して彼は、「長期的視点で見て欲しい。世の中は必ずサステナブルな方向へ行くし、それに向けて投資している。そこを理解して欲しい」と言っていたのですが、なかなか投資家が理解してくれませんでした。

以前、味の素の西井社長(2022年3月現在)とも対談したのですが、やはりサステナブルな経営の推進には苦労されています。2030年、2050年を見据えて先行投資をしなければならないので、足元の利益率はどうしても上がらない。投資家から四半期ごとにそこを追求されるので、長期目線でどういう投資の効果があるのかをしっかり説明し、投資家の理解を求めていると言っておられました。

恐らく、サステナブルな経営が財務面で評価されるようになれば、投資家の資金もそこに向かうのだと思いますが、今は様子見をしているのだと思います。ただ、地球環境や格差問題、人権問題は、今や待ったなしの状況に来ていますから、そこを解決する努力をしないと、私たちは先に進めないのではないかと考えています。そのために運用会社として、インベストメントチェーン全体に働きかけをする必要があると思っています。

当社は発足時より投資先企業へのエンゲージメント(投資先企業との対話)専門部署を設置して活動することに留まらず、現在では、主に機関投資家のお客さまへの働きかけも行っています。ですが、お客さまについてきていただくためには当社の本気を見せる必要があります。本気の姿勢を見せるため、NZAMなどの団体にいち早く加盟し、2050年までに温室効果ガスネットゼロの目標を達成するための中間目標を昨年9月に設定するなど、スピード感をもって取り組んでおり、これからもそうした歩みを続けます。

谷本:運用会社として、SDGsを推進している企業に投資する場合、確かに長期的には企業のサステナブルな成長にとって必要なことだとしても、直近の利益にはつながらないとすると、どういう投資判断を下せば良いのか、非常に難しいところですね。

菅野:たとえば、これまでは経済成長との引き換えで、地球温暖化が深刻化するほど大量のCO2を排出してきました。それが地球環境にとって悪いと分かっていたのに、ほとんど何も対応しませんでした。地球環境を守るうえで必要なコストを誰も負担しようとせず、見て見ぬふりをしてきたのです。

しかし、それではもう地球がもたないとなると、そのコストを誰がどう負担していくのかをよく考えて、工夫をしなければなりません。そうしないと、弱いところにしわ寄せがいきます。

たとえば電気代が上がるにしても、富裕層にとっては大した問題ではないでしょう。でも、これが死活問題になる人もいます。また産業革命時に比べて地球の気温を1.5度の上昇に抑えようという目標値を、国際社会は取り決めましたが、このうち1.1度分の上昇は、先進国のこれまでの経済発展によるものです。

そうであるにもかかわらず、国際社会で容認される気温上昇が残り0.4度では、新興国にはもうこれ以上、経済成長するなと言っているようなものです。

つまり、サステナブルであるために負担しなければならないコストは社会全体、地球全体で負担するものだという認識が定着すれば、それは一企業が負担するコストではなくなります。ただ、そういう枠組みに対応できるかできないかで、企業価値が変わっていくと思います。その見極めが、運用会社には求められます。

谷本:御社は今、ESG投資の基本方針を打ち出し、運用会社として企業に投資する際の判断基準としています。またそれと同時に、会社としてもESGを意識した経営に取り組まれておりますが、その狙いは何でしょうか。



菅野:投資する際の判断基準としてESGを重視するのは世界的な潮流であり、私たちも運用会社である以上、そこを意識して投資先を選別する必要があります。

ただ、投資先企業に対して「ダイバーシティはどうなっていますか」、「もっと女性の活躍を支援して下さい」などと対話を進めている自分たちの会社が、まったくダイバーシティを意識しない経営を行っていたら、どの口が言っているんだということになってしまいます。当然、投資先企業からの共感も得られません。

そのため私たち自身もESGを意識した経営に取り組んでいます。また、それと同時に私たちのお客さまのウェルビーイングを上げていくことも意識しています。

日本の運用会社は押しなべて最終顧客との接点がほぼありません。年金基金であれば年金受益者、投資信託であれば個人投資家が最終顧客になるのですが、そことの直接的な接点がないため、たとえば投資信託を購入して下さっている個人のお客さまのニーズが分からないのです。

でも、それをそのままにしておいて良いわけがありません。私たちはUX(ユーザー体験)のアプローチで最終顧客のニーズを把握し、さまざまなサービスを展開していきたいと考えています。

谷本:一消費者として、サステナブル経営を目指している企業を応援したいと思います。最後に、たくさんの企業があるなかで、私たちはどのような観点から見分ければ良いのかお教えいただけますか。

菅野:多くの企業がSDGsやESGを意識した経営を行っていますが、なかには取り組みの全体像を示さずに植林活動など表面的な行動でSDGsに寄与していることを印象付けようとしている企業もあります。

サステナブルな経営を行うためには、さまざまな社会的コストを内部化した新しい枠組みの中で、10年先、20年先の成長を目指さなければなりません。その本気度をホームページなどで発信できている企業は信頼ができるのではないでしょうか。勿論当社もその本気度を発信していく所存です。


菅野 暁(すがの・あきら)◎アセットマネジメントOne(株)取締役社長。1982年(株)日本興業銀行(現・みずほ銀行)入行。米国の大学院修了後、ファンドマネジャーや(株)みずほフィナンシャルグループ国際部門統括、執行役副社長などを経て2018年4月より現職。

谷本有香(たにもと・ゆか)◎Forbes JAPAN Web編集長。2004年に米国でMBAを取得。その後、日経CNBCキャスター、同社初の女性コメンテーターとして従事。これまでに3,000人を超える世界のVIPにインタビューした実績有り。

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