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オンラインイベント|Forbes JAPAN FUTURE DX DEBATE Partnership with Oracle Japan

2021年5月26日、Forbes JAPANは「FUTURE DX DEBATE Partnership with Oracle Japan」と題して、DX時代に求められる企業の姿を考えるオンライン配信イベントを開催。スピーカーには、楠木建(一橋ビジネススクール教授)、朝倉祐介(シニフィアン共同代表)、服部典弘(ヤフー執行役員 CIO兼テクノロジーグループCTO)、善浪広行(日本オラクル執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括)を迎えた。ここでは、当日のパネルセッションの要諦を3部構成に再編集してお届けする。


chapter1 現状認識について


コロナ禍への対応が早いとか、上手いとかいう話ではない。いま、業績がいい会社は、もともともっている戦略のストーリーが、ここにきて花を開いているのです。そういう方向ではじめから動いていた会社が、底力を出しています。
─── 一橋ビジネススクール教授 楠木 建


日本企業は、このまま沈没していくのか

2020年4月、GAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)の時価総額が東証一部全銘柄の時価総額を上回った。それは、まだ日本が1回目の緊急事態宣言に喘いでいたころの話だ。2,000社以上が名を連ねる東証一部上場銘柄の時価総額は、16年末の時点ではまだ米国の上位5社に対して2倍以上も多かった。この衝撃的な事実が意味するものとは何か。ふたつが挙げられるだろう。ひとつは、日本企業における競争力低下のストーリーは従前から進行していたということ。もうひとつは、デジタルの覇者が世界を席巻していく流れは今後も加速し続けるに違いないということだ。

冒頭で楠木が述べているように、いま、自社が業績を落としているとしたら、「その根本原因はコロナショックではない」と捉え直すことが肝要だ。コロナ禍を言い訳にしてはならない。楠木は、逆の事例を挙げている。

ユニクロの服=「LifeWear」は、そもそもその時々の流行を追いかけるのではなく、生活の部品としての実質的な価値を追求してきました。そういう戦略で動いていたところに、コロナ禍でさらにお客の新しい生活のニーズが顕在化した。従来の戦略がここにきてEコマースと店舗の連動を通じて顧客価値をさらに高めています。それを捉えて、投資を加速しています。

実際、20年8月度においてユニクロは店舗とECの合計売上高が前年同月比29.8%増という大幅な伸びを記録している。ユニクロは19年8月度も前年同月比9.9%増と好調だったが、そこからさらに30%近くも売上を伸長させた。

いま、業績を伸ばしているのは、デジタル化の進行によって社会や自社を取り巻く業界地図がドラスティックに変わりゆくなか、自らのあり方を真摯に見つめ直し、従前からDXに取り組んできた企業だ。逆に、DXに出遅れていた企業は厳しい戦いを強いられている。コロナ禍は、こうした流れを加速させて、明暗を浮き彫りにした要因のひとつに過ぎない。時計の針を早めただけなのだ。

日本企業は、このまま沈没していくのかーー。競争戦略の専門家である楠木は、以下のように語って経営者を鼓舞している。

これまでに「日本企業」なるものは、ただの一度も存在したことがありません。さまざまな業界に個別の事情を抱えた独立自尊の企業が存在しているだけです。「日本企業」という集合名詞ではなく、「自分」はどうするのかという視点が大事なのです。

chapter2 意識改革について


DXは、自分たちの姿そのものを問い直す契機とすべきです。デジタル化を突き詰めていくと、ゼロベースで自分たちのビジネスモデルのあり方を問い直すことにもなるでしょう。企業の経営層には、そこまでの覚悟が必要だと思います。
─── シニフィアン共同代表 朝倉祐介


DXとは、事業承継を考えることに近い

人流の抑制が求められるニューノーマルな生活のなかで、人々の消費行動はデジタルに移行した。また、会社はリモートワークの必要性にも駆られ、デジタルなソリューションを介した生産性向上や業務効率化への動きを先延ばしすることができなくなった。

楠木が言うように、〝独立自尊の存在〟として、いまや避けられないDXを取り込みながら着実に成長路線へと進んでいくための要諦とはいかなるものだろうか。

日本オラクルの執行役員であり、クラウド・アプリケーション事業を統括する善浪は、「考え続けるサイクルが大事だ」と言明する。

5年後、10年後の産業構造を考えて、自分たちの会社はどうなっていたいのか、そこに対してあるべき人材の姿とはどういうものかについて熟慮しなければいけません。そして、考えることをやめてはいけません。特定の人材にCIOを任せるだけで、DXの本来の意義は満たされないのです。社内に考えるムーブメントを起こし、考え続けるサイクルを維持する必要があります。

新たにヒトやモノを入れるだけで、DXは完結しない。すなわち、DXは一回で終わりではなく、誰かに一任するだけでは成功しない。経営者を筆頭に組織全体で考え続ける文化が醸成されない限り、DXが真価を発揮することはないのだ。善浪の言葉は、さらに続く。

DXとは、変化に対応していくことと同義と言えるでしょう。つまり、ずっと続いていくものです。だから、考え続ける文化や遺伝子をいかにつくり、残していくかが大事なのです。DXは短期的な事業創発とは違い、事業承継を考えることに近いと思います。

短期的な成果から、長期的な繁栄につながる活動へ。その契機となるのが、DXの導入である。いま、企業のトップに求められて“るのは、上記のようなマインドセットであり、強い意志とリーダーシップだ。〝DXを導入するにあたっては、目先のコストの話で終わらせないことが大切だ”と楠木は語っている。そこに必要なのはポジティブなビジョンであり、「こうすればもっと企業価値が上がる」という戦略のストーリーだという。

楠木は、こうも述べている。

DX導入における障害の最たるものは、「食わず嫌い」です。だから、第一歩としては「味をしめる」ことが大事。一度、味を知ってしまえば、DXは美味しいものであることがわかるはず。いま、多くの会社が人手不足に悩んでいます。だから、「早く帰宅できるようになった」「そもそも出社しなくてよくなった」といった明らかに省力化を体感できる部分から始めてもいい。大きな戦略のストーリーを描きながら、経営者は社員にDXの味をわからせることに集中していただきたい。

chapter3 行動変容について


DX導入の初期段階では、自分たちの事業プロセスにおいて「標準化するところ」と「差別化するところ」の仕分けが必須です。ヤフーも自社のDXにおいて、そこからスタートしました。バックオフィス的な「標準化するプロセス」にはSaaSを、「差別化するプロセス」には自社のITエンジニアを充てるようにしています。
─── ヤフー執行役員 CIO兼テクノロジーグループCTO 服部典弘


DXという盾と矛を手に、出陣する時が来た

日本を代表するIT企業のヤフーは、今年4月にサービス開始から25周年を迎えた。初期につくったシステムや仕組みで古くなってきているところもあり、近年の大きな課題になっていたという。リニューアルしないと維持できない部分があるほか、ベンチャーとして創業した当時の規模に合わせていたシステムを会社のサイズが大きくなるたびに継ぎ足しながらやってきたというが、そもそもの仕組みやそれにまつわる業務プロセスが古くなってしまった。そのため、会社全体でシステムを入れ替える必要があったのだ。

まずはユーザーに面しているサービスの部分からはじめて、いまはバックオフィスに着手しているところです。内製からSaaSに移行しています。スピード感をもってDXを推進するためには、バックオフィスの業務プロセスを標準的なもの(=SaaS)に合わせるのが最善策だと考えました。

SaaSに移行するなかでは、業務プロセスの変化を全社の課題として捉えることが肝要だ。自社のありたい姿に向けて全体のビジョンを統一する必要がある。これから先、さらに変化が激しい世の中になることをビジョンに織り込み、それを前提にしてヤフーはDXを推し進めている。

現在は、財務・会計領域のシステムを入れ替えてDXを推進中です。「制度会計」が終わり次第、「管理会計」のエリアへと進めていきます。これまでも経営指標の可視化はできていましたが、今後は「財務上の数字」と「サービス上のKPI」を結びつけた状態で可視化したいと考えています。これにより、経営判断に必要な数字がより早く、より正確に出せるようになるはずです。

朝倉は、DXの意味と成功シナリオを下記のように表現した。

つまるところ、DXとは高度に経営の話であり、組織の話である。確かに、そう思いますね。第一には、無駄なプロセスを捨てていく。第二には、自前を捨てていく。第三には、アイデンティティを捨てていく。DXを突き詰めると、経営はより高次元なステージへと上がっていきます。

〝アイデンティティを捨てる〟とは、いかにも過激な発言のように聞こえる。だが、端的に現状を表した言葉でもある。例えば、長らく日本の経済を牽引してきた自動車業界はいま、CASE(Connected/コネクテッド、Autonomous/自動運転、Shared & Services/カーシェアリングとサービス、Electric/電気自動車)と呼ばれる新領域と向き合い、ビジネスモデルの根本的変革を迫られている。これを対岸で起きていることと捉えてはならない。それぞれの業界において、バックキャスティングとともに柔軟な行動を起こしていく必要がある。

自社の事業および組織のあるべき姿を見据え、現状とのギャップを認識し、果断でフレキシブルな変革を始めるときが来ている。DXは、そのための盾になり、矛にもなるのだ。

Oracle Corporation:変革への取り組み


オラクルが自社で行ってきたDXについて
─── 日本オラクル 執行役員/クラウド・アプリケーション事業統括/
ERP/HCMクラウド事業本部 善浪広行




日本オラクルは、世界175カ国でビジネスを展開するオラクル・コーポレーションの日本法人だ。もともとはオンプレミス(売切り)型のソフトウエアを販売する会社だったが、この10年ほどでクラウド(サービス)型へとシフトしてきた。

当然ながら、ビジネスモデルを転換するとともに、自社のDXも推進して学びを得ています。具体的には、営業・マーケティングの仕組みを整えるのがステップ1となり、海外の小会社をベースにHCMクラウドで人事の領域、ERPクラウドで会計の領域を標準化してから、グローバルに広げていきました。現在は、データをどのように活用するかに注力しています。



日本オラクルが自社で推進してきたDXにおいては、インパクトが大きくて実行可能な領域から始め、最初の成功事例を構築し、勢いを醸成してきたという経緯がある。変革の過程において常に立ち戻るべき羅針盤にしていたのが、簡素化→標準化→集中化→自動化のプロセスだ。

オラクルが提供するDXのサービスについて



コロナ禍を踏まえて、企業様からは「よりリアルタイムにデータを分析して、効率化さらには差別化につなげていきたい」とのご相談を頂きます。現在、オラクルではERPやCXなどすべてのビジネス・アプリケーションをピュアSaaSで提供しています。常に変化を先取りしながら四半期毎にアップデートし続けますのでお客様のビジネスを陳腐化させません。DXジャーニーのパートナーとして幅広くお手伝いできるのが強みです。



Forbes JAPAN FUTURE DX DEBATE Partnership with Oracle Japan
【イベントアーカイブ動画配信中】
https://forbesjapan.com/feat/futuredxdebate/

Promoted by 日本オラクル |文=國領磨人|編集=高城昭夫

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