IQの高い人間は、素早く建設的に何が最善かを選択し、合理的かつ創造的に課題を解決できるといわれている。ビジネスにおいても、さまざまな障壁を乗り越えていくために極めて高い言語・論理的、数理・空間的認知能力を発揮する。
今年3月、自らが代表となってヘッジファンドを立ち上げた田沼豪のIQは164だ。職業とIQには明確な関係性が確認されていて、医師や弁護士のように高度な専門性が求められる者のIQ平均値は112との調査結果もある。そう考えれば、IQ164という数値の希少性がわかるだろう。
まだ彼は30歳だが、経歴も希有だ。幼いころから哲学書を耽読し、「教師の賢さに疑問を抱いた」という天才ならではの苦悩から高校を自主退学している。大学に入ると1年時から日本株やFXの取引を開始。学生ながら数千万円を運用していた。大学卒業後は、国内最大級の独立系資産運用会社に入社し、同社史上最年少でファンドマネージャーに就任。1,000億円以上を運用してきた。
その後、アカデミックな専門性を求めて一橋大学院にてMBAも取得し、自己資金でヘッジファンドを創業した。高校にも属さぬ身分なき若者がヘッジファンドを創業するまで、わずか10年程度だ。金融業界に身を置いてきたなかで、気づいたことがあるという。
「日本の資産運用業界には、大きな問題があります。それは、運用責任者であるファンドマネージャーを開示しているファンドがほぼないということです。レストランに例えるとわかりやすいのですが、三ツ星レストランならば、シェフの名前や顔写真、どこで修業したかを公表しています。もちろん、そこには『このシェフの料理は不味い』と名指しで批判されるリスクが生じます。そのリスクを背負う覚悟と自信があって公表しているのです。ほとんどのファンドが運用責任者を非開示にしているなんて、不親切で無責任ではないでしょうか」
実際、過去の実績を信用して投資したファンドのマネージャーがヘッドハンティングによって退社し、優れたパフォーマンスが出せなくなるという事態も散見される。普段から三ツ星レストランに足を運ぶような人であっても、ファンドへの投資においては、誰がつくっているかわからない料理に高いお金を払っているに等しい。大切な資産を託す身として、これはあまりにも粗略ではないか。田沼が立ち上げたGOファンドでは、「顔の見える運用」を至上のポリシーにしている。その顔とはもちろん、田沼自身であり、自らの名を冠した社名もその自信と責任の表れだ。
「当社は数学的・統計的な分析をベースとしたクオンツ運用を行っています。独自の投資アルゴリズムに基づき、投資対象である日本・米国・欧州の株式と債券を売買することで、景気に左右されないリターンを目指す絶対収益型ファンドです。過去の運用では、下方リスクを抑制しつつ年率30%以上の実績を残しています」
また、田沼の投資戦略には他者にはない強みがあるという。
「一般的なクオンツ戦略では、AIを用いながら綿密なデータ分析を行うことで、マーケットのゆがみや規則性を発見し、投資判断を行います。これは正しいアプローチに思えますが、結局は皆が同じマーケットデータで同様の分析をして、如何に他者に先んじられるかを競っているだけで、時間の経過とともに戦略の独自性や優位性が失われてしまうという欠点があります。
一方で、私の戦略はアプローチが全く異なります。私がもつ『先天的な才能』と『後天的に習得した統計分析能力』を融合することで、独自性と優位性を失わない戦略となっているのです。具体的に説明すると、高IQといっても、各個人で得意不得意な分野が存在します。私は、特に視覚的な推理力やパターン認識能力に秀でており、その才能をマーケットの値動きを示したチャートの分析に応用しています。
つまり、直観的に発見したマーケットのゆがみや規則性を、統計分析によって真に統計的に有意か検証し、投資アルゴリズムへと昇華させているのです。従って、セオリー通りの投資理論しか知らない運用者には到底思いつかない戦略といえます」
もちろん、才能だけではない。彼は、日々20時間近くをマーケット分析に費やしている。それを10年間続けてきた。「パフォーマンス=才能×情熱」という方程式で語るなら、積を構成する数値に不足なし。才能も情熱も破格だ。
常人にとっては魔法のごとく感じられる「先天的なパターン認識能力」に、「後天的に習得した統計分析能力」を調合していく。先天性と後天性のフュージョンこそ、誰にもまねできない田沼ならではのスペシャルレシピだ。
奉仕型の天才が社会を動かす
台湾で「コロナ禍の救世主」と称賛されているオードリー・タンは、人々に奉仕しようと決意して35歳で行政院に入り、IT担当大臣に就いた。田沼がGOファンドを起こした最大の理由は、「自分が運用するヘッジファンドに誰でも少額から投資できるようにし、真に資産運用を必要としている人に良質なファンドを提供したい」と考えたからだ。タンも田沼も奉仕型の天才といえるだろう。一般的なヘッジファンドは機関投資家を顧客層とし、小口の個人投資家は顧客対象としていない。
「まだ創業したばかりのGOファンドは適格機関投資家等特例業者として私募ファンドの運用を行っており、企業理念である個人投資家への小口提供という意味では道半ばの状態です。現在、投資運用業と第二種金融商品取引業の登録準備を進めており、ゆくゆくはWEB上で投資できる公募ファンドの提供を始める予定です」
親会社をもたず、VCからの出資も受けていないので、真に顧客本位のビジネスを圧倒的なスピードで展開できる点もGOファンドの特長だ。
大和証券で債券ディーリング業務に従事していた小中谷、SMBCフレンド証券(現SMBC日興証券)にてコンプライアンス統括部長を務めていた藤原に加え、監査法人や官民ファンド出身の弁護士や公認会計士などがメンバーとして参画し、組織体制も盤石となっている。GOファンドが「資産運用業界の三ツ星」と評される日は近い。
GOファンド株式会社
お問い合わせ先:info@gofund.co.jp
田沼豪◎1990年生まれ、群馬県出身。上智大学法学部卒業後、2014年ベイビュー・アセット・マネジメントに入社。2020年にGOファンドを設立。一橋大学大学院経営学修士課程(MBA)修了。IQ164。