チューリッヒの「ル ビジュー(Le Bijou)」は著名人にも人気のホテルで、1泊あたりの宿泊費は800ドルから2000ドル程度。アップル共同創業者のスティーブ・ウォズニアックや、サウジアラビアの王族、映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のモデルとなった株式ブローカーのジョーダン・ベルフォートからも高い評価を得たという。
3月24日のワシントン・ポストの記事によると、ル ビジューは先日から、客室内で新型コロナウイルス検査が受けられ、医師の訪問や24時間体制のケアがオプションで選べる豪華プランの販売を開始した。このプランは「COVID-19 サービス」と呼ばれている。
価格はウイルス検査が500ドルで、1日2回の看護師の訪問サービスつきプランが1800ドル、24時間体制のナースケアプランは4800ドルとなっている。さらに、プラベートシェフや専用クリニックへの特別アクセスも用意されている。
ホテルや旅行業界全体が売上の急落に直面するなかで、同ホテルの試みは注目に値する。マリオットグループCEOのアーン・ソレンソンは先日のCNBCの取材に、新型コロナウイルスの感染拡大は、2001年の同時多発テロや2008年の金融危機以上のダメージをホテル業界に与えており、何万人もの従業員のレイオフにつながったと述べていた。
ル ビジューホテルCEOのアレクサンダー・ヒュブナーは、ワシントン・ポストの取材に「10日ほど前に特別プランの販売を開始したばかりだが、わずかな期間で問い合わせが急増している」と述べた。
米国のジョンズ・ホプキンス大学によるとスイスでは約1万人の新型コロナウイルス感染者が確認されており、153人が亡くなっている。アメリカの旅行・観光業界は政府に対し、1500億ドル(約17兆円)の支援金の支給を求めている。