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受け継がれてきた伝統と、新しい時代のニーズを読み挑戦する若き才能の出会い。実際に家業承継をチャンスに変えてきた2人の社長が、エヌエヌ生命保険のファシリテーションでその可能性を語り合った。


浅田真央や坂東玉三郎が出演するCMで知られる高反発マットレス「エアウィーヴ」を生み出したのは、漁網や釣り糸の押出成型機を製造していた愛知県の中小企業。現会長兼社長の高岡本州氏は、父親が創業した会社の経営を担いながら、伯父が経営する倒産寸前の会社を引き継ぎ、その技術を転用して寝具という新たな市場に挑みビジネスチャンスをつかんだ。
 
一方、中尾友彦氏は90年続くコンニャク製造会社の4代目。伝統的な製法にこだわりつつ、新たな市場を開拓するために試行錯誤を続けるなかで、大先輩である高岡氏から貴重なアドバイスをもらった。

相続とは親の顔を受け継ぐこと

高岡本州(以下、高岡):26歳で父親の会社に入社した頃は、喧嘩ばかりしていましたね。父親は叩き上げで尊敬していますが、大学院で経営を学んだ僕からすると納得できないことばかりだったのです。  

そんなある日、作家の吉行淳之介が「相続」について書いているエッセイを読みました。そこには、相続は親の顔(相)を継ぐことと書かれていました。親の顔には右と左色々あって、気に入らない顔もあるけど、それを継ぐのが相続する人間の役割。だから顔を潰してはいけない。つまり、父のやってきたことを否定してはいけないのだと。

「事業承継」は「親の顔を継げ」と書いてあった気がするんです。その文章に触れて、親父と喧嘩をせずに自分の本分の仕事をやっていこうと割り切れました。

中尾友彦(以下、中尾):僕は証券会社で金融を学んでから入社したので、父の経営方針には疑問を感じていました。作れば売れる時代だったこともあり、商品数を増やしすぎたのです。そこで25歳の時に直談判して社長に就任し、本当にいい商品だけを作る経営方針に変えました。  

歳上の従業員の対応にも苦労しましたが、はっきりと自分の方針を説明して納得してもらえるよう努めてきました。

自社のアセットを見つめ直す

高岡:父親の会社を引き継いだ後、伯父が経営する押出成型機会社の社長にも就任しました。伯父の会社は父親の会社の株も持っており、万が一倒産して株が放出されれば経営にも影響するので、潰すわけにはいかなかったのです。この会社が持っていた漁網や釣り糸製造の技術を寝具に応用できないかと考え、研究開発を始めたのがエアウィーヴでした。  

当初は赤字続きで給料も貰えず、借金も抱えていましたが、幸いもう一方の社長業があったので生活はできました。その点、後継者は起業家に比べて恵まれているのかもしれません。




睡眠の質に着眼し、独自開発のエアファイバー素材で各種寝具を展開。寝返りが楽で、通気性に優れ、水洗いができるという特性をもつ。

中尾:
曽祖父は本当に美味しいコンニャクを求めて創業したのだと思うので、その意思を引き継ぎたい。今は有機栽培の生芋だけを使用し、凝固剤には昔ながらの木灰のアク汁を使った伝統的なコンニャク作りに取り組んでいます。
 
また価格競争になりがちなBtoBに頼るのではなく一般消費者への小売りを強化するため、イベント会場やファーマーズマーケットでの対面販売に力を入れています。

高岡:実績を残してきた企業には必ず信念や技術などのアセット(財産)があるので、それを時代のニーズに適応させればビジネスチャンスは必ずあります。

中尾:コンニャクは1300年ほど前に中国から伝来し、当時は高貴な方々の薬として食べられていました。まさにスーパーフードなんですが、その魅力をどう発信していけばいいのかを模索しています。




創業者の名前を冠した「菊松こんにゃく」。国産で自然由来の原料を使用し、昔ながらの製法で作られている。臭みが少なく生でも食べやすい。

高岡:中尾さんのコンニャクは、食べれば美味しいに決まっている。でもそれを消費者に伝える方法が難しい。世の中に美味しいものは溢れているし、そのなかで中尾さんのコンニャクを選んでもらうためのストーリーを作らなければいけないと思います。

中尾:高岡さんはよく、根拠と物語がなければ商品は売れないと語っておられます。私もそこは大事にしたいですね。

高岡:父は世の為人の為になる事業を継続させることが大切で、過剰な利益を求めてはいけないと常々語っていました。僕も儲けるためにエアウィーヴをやっているわけではありません。実は、若い頃に交通事故でムチ打ち症になって、寝るのに苦労した経験があるのです。睡眠の質を変えたいという理念を抱くようになり、その想いを形にしたのがエアウィーヴでした。睡眠の質の研究にも、かなり投資しました。

中尾:私も利益だけでなく、美味しくて健康にいいコンニャクを届けるという使命感をもって働いています。海外での注目度も高くなってきたので、スムージーやパスタなどの新商品で市場を開拓したいですね。

高岡:エアウィーヴは一度アメリカ進出に失敗して大損しましたが、まだ諦めてはいません。次は体制を整えて、現地企業と組んで挑戦したいと考えています。もちろん、専門家の方々のお力を借りながら、睡眠研究も続けていきます。


高岡本州(たかおか もとくに)◎1983年、名古屋大学工学部応用物理学科卒業、87年スタンフォード大学経済システム工学科修士(MS)。家業の配電機器製造の日本高圧電気を経営しながら、2007年にエアウィーヴを創業し短期間で寝具の著名ブランドに成長させる。17年より「EYアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー 日本大会」審査委員。

中尾友彦(なかお ともひこ)◎中尾食品工業代表取締役社長。1988年、大阪・堺市に3世代続くコンニャク屋の跡取りとして生まれる。大学卒業後、証券会社に入社し、主に個人資産家への新規開拓営業を担う。2013年、25歳で4代目経営者に就任。「菊松こんにゃく」ブランドの継承・発展に取り組んでいる。

エヌエヌ生命
https://www.nnlife.co.jp


「エヌエヌ生命保険は家業イノベーターをサポートします」


 
エヌエヌ生命保険は、ヨーロッパと日本に18カ国の拠点をもつ大手保険会社・NNグループの日本法人。日本では、中小企業とその経営者が財務や財産の面で安定した将来性が得られるよう、30年以上にわたり法人向けの事業保険とサービスの開発を行っている。現在、中小企業サポーターとして、全国約5000店のプロフェッショナルな代理店を通じて、事業保障、事業承継、退職の準備など、中小企業とその経営者のさまざまなニーズに応えるべく挑戦を続けている。フォーブスとは、Small Giants Awardでの繋がりをもつ。


 
同社はまた、中小企業の未来を支える後継者の支援にも力を入れており、社会貢献活動「未来の社長」を展開。その一環として、2017年より「家業イノベーション・ラボ」をNPO法人ETIC.ならびに農家のこせがれネットワークとともに立ち上げ、家業の後継者を経営者として育成するための活動を推進している。プログラムでは、「家業を継ぐなら自分らしくチャレンジして新しい価値を生み出したい」と考える次の担い手(=家業イノベーター)を対象に、さまざまなイベントを開催している。

また6月からは、新たにANAとの「Journey+×家業イノベーション・ラボ」を始動。「旅」という同じ時間と体験の共有を通して、似たような立場や境遇にある者同士で、「家業を継ぐ、伝統をつなぐ」ことの本質について追求するツアーを体験できる。

詳細は以下の専用ホームページを参照
https://www.ana.co.jp/ja/jp/domtour/journey/article01/

家業イノベーション・ラボ
https://kagyoinnovationlabo.com

Promoted by エヌエヌ生命保険 / text by Kiyoshi Shimizu (lefthands) / edit by Shigekazu Ohno (lefthands) / photographs by Takao Ohta

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