ビジネス

2018.03.21

すずかん・ホリエモンが語る、「人材もシェアリング」する未来

第135回新春 全国経営者セミナーに登壇した堀江 貴文氏(左)、鈴木 寛氏(右)

世界的に「VUCA(ブーカ)時代」という言葉が叫ばれているように、企業経営者にとって、いまの社会経済環境はきわめて予測の難しい状況に直面している。この不確実性高まる時代の中で、リーダーたちはどのように舵を切り、どんな変革を起こしていかなければならないのか。

日本経営合理化協会が主催する第135回新春 全国経営者セミナー(2018年1月25日)に、文部科学大臣補佐官の鈴木寛氏とSNS media&consultingファウンダーの堀江貴文氏が登壇。弊誌副編集長 谷本有香が、新たな時代の価値観と経営について聞いた。


谷本有香(以下、谷本):今、環境の変化が非常に激しくなっています。市場経済がグローバル化し、情報技術も飛躍的に進展している。そのような中で、本日お集まりの経営者の方たちは、一体どのようなことを考えていかなければいけないのか。現状をどうご覧になりますか?

鈴木寛(以下、鈴木):今、経営をされている方は本当に大変だと思うんです。不確実性は増しているのに、情報も溢れかえっている。そんな中で重要なのは、自分がやりたいことを思い切ってやるということではないでしょうか。そのために、まずは自分自身に向き合うということです。

また、日本だけで物事を考えないようにすることも大切です。私は東京オリンピック後、日本はかなりしんどいことになると思うんです。そのイベント後に、経済社会の根底が崩れることを意識して、経営者は準備に入られたほうが良いと思います。すずかんゼミでも「Xデイに備えろ」と常に言っています。

堀江貴文(以下、堀江):社員を抱えている人は大変ですよね。僕は抱えたくないなと思っています。だから今、社長業は一切やっていない。

最近、ブラック労働とかパワハラとか様々な話がニュースの話題にのぼるけれど、僕がライブドアを創業した当時なんて、皆朝から晩まで会社に泊まり込んで働いていましたよ。ベンチャー企業の起ち上げなんてそんなものです。ガチガチに労働基準法を守ってやっていたら、ベンチャー企業なんて潰れてしまいますよ。……皆さんは言えないと思いますけれど、僕は言います(笑)。



谷本:ただ、そう時間に制限なく働いている人たちには、「夢」とか「目標」が共有されている。それがドライブになっていますよね。

堀江:そういう意味では、僕はオンラインサロン「堀江貴文イノベーション大学校(HIU)」というのをやっていますが、その千数百人という会員は、自身がやりたいことをサロンを通じてカタチにしていきます。ビジネスも遊びも、自ら積極的にプロジェクトやイベントを起こしたり、ときには僕のイベントを一緒にやったり、能動的に参加してもらうんです。

でも、会員は毎月1万円を払っていますが、僕は一切払っていない。そこに雇用関係は発生しないんです。嫌だったら1万円を払うのをやめれば、すぐに辞められるので労使関係もない。もし会社という形態をとっていたら、「社長の思いつきにつきあわされて面倒くさいけど、お金をもらっているから仕方ないか」という変な関係性になるところを、「1万円払って、すごい働かされているけど、充実感もある!」という風になる。

つまりは、そこにいる人たちの気分次第なんです。雇用関係ではなく、新しい集団、組織の関係というものをリニューアルしたいんです。学校でもない、経営者組織でもない、会社でもないような組織をつくって実験をしているという感じでしょうか。僕はなにもせず、会員だけで全てつくっているんです。

谷本:一方で、経営者の皆さんはすでに従業員を抱えていらっしゃいます。そのご家族の人生も背負っている。なかなか、会社組織ではないコミュニティをというのは難しいように映ります。

堀江:もう、その考え方がダメだと思う。背負わなくていいんです。社員は背負ってくれとも思っていないんです。思っている人もいるかもしれませんが、9割の人はどうでもいいと思っている。会社は大きな家族と言う経営者もいますが、思い込み過ぎでしょう。

谷本:労使関係というより、プロとプロとの個人契約のような形態になるということですか?

堀江:いえいえ、もう人もいらない。社員として雇用契約を結ぶと硬直的になるんですよ。最近、AIがバズワードになっていますが、AI化というとブルーカラーの工場ラインが自動化されるようなイメージを皆さんお持ちだと思うのですが、なくなるのは恐らくホワイトカラーです。正直言って、会社の中にいる7〜8割の人は無駄な仕事をしていると思います。

僕はクラウドの請求書やり取りサービスなど、経営効率化の事業にも投資をしているのですが、一向に導入が進まない。経営者のITリテラシーの問題もありますが、自身の会社だけだったらすべてIT化、クラウド化できるところを対会社だとそれがなかなかできないという現状もある。典型的な例として、今年のはじめ、農林水産省が働き方改革の一環で、オフィシャルワープロソフトを一太郎からワードに変えたっていうのもありましたよね。

谷本:もはや、昭和ですね。

堀江:ただ、いつか一気にどこかのタイミングでIT化の波が必ず来るんです。その時に、いらなくなる人が山のように出てくると思うんですよね。その時に雇用関係を切るのは相当大変だと思います。
次ページ > 「ゼミ」は学び直しの場

編集=フォーブス ジャパン編集部

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事