マイクロソフトの日本法人が「新しいワークスタイル」を実践し、わずか5年で社員1人当たりの売上高が26%向上したという。改革をリードするチームのひとり、日本マイクロソフトの輪島文氏に、"活躍と成長"の働き方を訊いた。
働き方改革の成功事例を見るために、7年間で93万人が訪れた会社がある。それは日本マイクロソフトの本社オフィスだ。驚異的な人気の原動力とはいったい何か。
2011年、同社は「働き方改革」を経営課題に据えた。全社員が一丸となって実践する改革だ。その成果は、5年後に社員1人あたりの売上高、つまり事業生産性が26%上昇するという脅威の数字を叩き出した。
巨人マイクロソフトであっても、この頃のIT・テクノロジー業界のうねり、スピード感は脅威だったと推察できる。本格化するクラウド、タブレットなどモバイル向けへの業界の対応など、厳しい戦略が求められる進化の加速時期。経営に直結するヒリヒリする判断に追われただろう。
先行きを見据え、同社が取った最も大きな選択のひとつが「働き方改革」だったのだ。
同社が成し遂げた「成果を上げる新しいワークスタイル」の実際を知ろうと、オフィスツアーやイベントの参加者は絶えることがない。しかも、大企業の経営トップが足を運ぶケースも珍しくないという。
だが、働き方改革というのは、ある意味ありふれた概念であり、多くの企業が取り組んでいることだ。であるにもかかわらずマイクロソフトはなぜ、大きな成果を出すことができたのか。改革をリードするチームのひとり、シニア プロダクト マネージャーの輪島文はこう言う。
「改革の目的は、残業ゼロや福利厚生の改善といった制度を設計するものではなく、あくまでも"ビジネスの成長"であり、業績を上げ続けることにあります。それに向けて社員一人ひとりが、ビジネスの現場で活躍するためにはどうすればいいのかを考えつくし、そしてそれが生産性の向上などにつながっていったのです」
生産性26%向上の秘密は断っておくが、同社の成果は生産性だけではない。女性の離職率は40%減り、ワークライフバランスに対する「満足度」は40%増えた。試行錯誤を重ねながら改革を進めていくなかで、「社員は自発的に働き方を見直し、改善していくという動きが多く見られるようになった」(輪島)という。そんな、活躍するための新しい試みの1つに、働き方の見える化がある。
同社のソリューションを活用し、メールや会議、部署間のコラボレーションなど、社員のより効率的な働き方をサポートする。そしてAIが「改善の余地のある事案」を確実に教えてくれるという。
社員自身も変わっていった。自分出したメールがどれくらいの人に読まれたかを知ることができる仕組みがあり、ある社員は送信したメールが7割ほどしか開封されていないことを知った。以来、重要なメールの受信者が読んでいないとわかると、すぐに会いに行って話をするようになった。小さな一歩だが、積極的な対面でのコミュニケーションが増え、会話で相手を巻き込む力がついたという。
日本マイクロソフトは経営に直結する項目で大きな成果を上げた。これらはほんの一例である。働き方の評価ポイントとして、部署間のコラボレーションを推進する項目がマイクロソフトにはある。円滑になる部署間連系は、大企業にありがちな「もっさり」感の解消になり、業績に貢献することにつながる。また、同社の場合は、社員が、社長の力を必要としたときにいつでも相談できるカルチャーがある。それにより、あらゆる事案を即断即決することで、ビジネスのスピードが圧倒的にアップしたのだ。
こうしてみると、マイクロソフトが進めている働き方改革は、社員に対して働き方への気づきを与え、経営レベルの業務改善の仕組みづくりにポイントがありそうだ。
とはいえ、それがわかったところで実際に"ビジネスを成長"させることはとてもできない。輪島によると、成功のポイントは意識の改革と、経営者の覚悟にあるという。いったいどういうことか。詳しくは次回3月19日(月)に開かれるイベントで教えてくれるはずだ。
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