理想は「完璧な“非日常”」。そのために2002年末、東京・中目黒からこの地に移転してきた。
「フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ」は、1日1組限定のリストランテ。7月初旬〜9月初旬まではテラスを使い、名を「アルベリーニ」に変え、屋外のトラットリアへと切り替える。
食材はもちろん、気候やハイシーズンでにぎわう土地柄を考慮してのこと。非日常をつくり上げるには、「ストーブの薪がはぜる音が響くほどの、静けさが必要だから」だ。
オーナーシェフである小林幸司は、ゲストが家を出て、食事をし、帰宅するまでの一連をディナーだと考える人。ゆえに料理はもちろん、景色や空間、照明、音、床材などすべてに気を配り、その最適な舞台として冬の軽井沢を選んだのだ。店内に通されると、テーブルの上にはその日のためだけのプロポースタ（メニュー）が置かれる。
しかしそれは、あくまで食材と調理法が書き留められてたものにすぎない。実際には、ゲストの雰囲気や声色で察し、食べるべきタイミングを計算しながら、即興的に最上の一皿が生み出されていく。コースは9種8皿。至福の時間である。
「お客さんを役者にしたい」。そんな思いを託した舞台の幕は、冬の間だけ開く。
フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ
●長野県北佐久郡軽井沢町長倉2147-689
☎ 0267-41-0612
営12:00〜19:00からスタート
※完全予約制
✽情報は2015年1月現在のもの
