最近の分析結果によれば、アメリカでは高齢者も若者と同様、健康管理のためのテクノロジーや機器をいち早く取り入れるようになっている。そのため、ベビーブーマーをはじめとする高齢者世代はいまや、フィットネスに特化したウェアラブル機器のメーカーや健康関連産業にとって、若者世代と同様に有望な市場として台頭し始めている。
「高齢者はテクノロジーに絡む全てのものを怖がる、という先入観は間違っている」と、総合コンサルティング会社アクセンチュア健康習慣部門のカベ・サファビ博士は言う。「アプリであれ機器であれ、彼らは進んで利用したいと考えている」
アクセンチュアのデータによれば、健康状態やバイタルサイン((血圧・心拍数など)の追跡のためにウェアラブルデバイスを使用している人は65歳以上の17%。65歳未満では20%となっている。
一方、使いたいと考えている人は年齢層を問わずほぼ同じとなっており、65歳以上の48%、65歳未満の47%だった。
この現状を受けて、より高齢のアメリカ人を健康管理・維持の市場に取り込もうと、より多くの企業がこの分野に参入。また既存メーカーは、新技術の開発を強化している。
「フィットビットやジョウボーン(Jawbone)、ガーミン(Garmin)、ポーラー(Polar)、ミスフィット(Misfit)など、運動や健康状態のモニタリング機器を製造しているほぼ全てのメーカーが活動量計を製造している」と、情報企業IHSでデジタルヘルス部門のアナリストを務めるルイーン・ローシャンは言う。
米調査機関ピュー・リサーチ・センターによれば、2030年まで毎日1万人の米国人が65歳を迎えることになり、各企業はこの市場にチャンスを見出している。
IHSでは、健康維持・増進に特化したウェアラブルテクノロジーの世界市場は、2020年までに、収益が現在のほぼ倍の112億ドル(約1.2兆円)に達すると推定している(2016年の予測収益は56億ドル=約5,861億円)。IHSのデータによれば、現在、同テクノロジー市場の累積年平均成長率は約32%だ。
ローシャンは、高齢者がこうしたテクノロジーに興味を示すのは理にかなったことだと指摘する。「一つには、全体として慢性疾患が注目されていることが理由だ。高齢者は慢性疾患のリスクが高いことから、若者たちよりずっと健康維持に関心が高い。第二に、高齢者は私たちが予想していた以上のペースで、モバイルテクノロジーを取り入れてきた。フィットビットなどの活動量計の多くは、(彼らがすでに使い慣れている)スマートフォンやタブレット端末と連携させるものなのだ」。