VPN経由のネット接続は、ユーザーを企業や政府による行動監視や、所在地の漏えいといったリスクから守るメリットもある。しかし、ネットフリックスが問題視しているのは、VPNを使うことでユーザーが海外のIPアドレスに偽装できる点だ。
例えば、ロシアでは提供されていないコンテンツを、VPNを使ってアメリカに滞在しているように見せかければ、米国限定の動画が視聴できてしまう。コンテンツのライセンス契約は国によって異なるため、多くの国に進出しているネットフリックスとしては、こうした不正行為を許容できない事情がある。先月にはVPN経由での不正アクセス取り締まりを一層強化すると発表していた。
この措置によってどれだけの業者が影響を受けるかは不明だが、カナダのVPNプロバイダーであるUnotellyは先週、ペイパルから一方的に取引を打ち切られたという。
ペイパルがターゲットにしているのは、著作権を侵害したり、VPN経由で違法にコンテンツにアクセスする行為だ。「当社はグローバルな決済サービスとして、各国の政府や規制当局が定めた法律を遵守している。著作権を侵害する行為のために当社の決済サービスを利用することは認められない」とペイパルの広報担当者は述べている。
今回のペイパルの措置で問題となるのは、セキュリティ上の理由でVPNを使いたい場合であってもペイパルでの支払いが認められないということだ。一方、ネットフリックスにとってペイパルが協調姿勢を見せてくれたことは、不正なVPN利用を撲滅する上で大きな前進となるだろう。