ナスダック100指数の急落はIPOの価格交渉にどう響いたのか
アンソロピックの財務説明後に始まった想定企業価値の下落は、2026年11月5日の株式市場の急落でさらに進んだ。ナスダック上場の主要な非金融企業で構成するナスダック100指数は同日に6.4%下落し、1日の下落率は2020年以来最大だった。
投資家は民主党が主導する米連邦議会と、データセンターの新設が難しくなる可能性を意識していた。IPOの評価額を巡る協議も株式相場と連動した。
AIバブルを見分ける基準は、企業の稼ぎと買い手の行動
我々は2025年9月、会員向けの書簡でAIバブルが始まる条件を次のように示した。
AIアプリケーションを手がける企業の成長ストーリーを売り文句に、ウォール街の投資銀行が一般投資家に株を売り始めるまで、AI「バブル」は始まらない。
売上高の約1400倍で上場したロボット企業とアンソロピックの違い
株式相場が急落した2026年11月5日、人型ロボット開発企業Agility Robotics(アジリティ・ロボティクス)の株式がナスダックで取引を始めた。上場につながった企業結合での評価額は、2025年の売上高180万ドル(約2億8440万円)の約1400倍に達した。我々がAIバブルの兆候として注目するのは、このような上場だ。
アンソロピックは、事業の売上高を基準に企業価値を測るという点で対極にある。実際の事業から売上高を生み出しており、投資家はIPOで株式を購入する価格が妥当かを計算している。
投資家が企業の稼ぎを確かめなくなったとき、バブルは生まれる。しかし、2026年11月2日の週には、アンソロピックの稼ぎに見合う値付けを投資家が求め、想定企業価値を引き下げた。
より低い評価額でアンソロピックがIPOを実施すれば、新たに株を買う投資家には朗報だ。AI企業の価値が依然として売上高を基準に評価されていることも示している。我々の判断基準では、AIバブルが始まったと結論づけるにはまだ早い。


