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経営・戦略

2026.11.08 09:00

人型ロボのフィギュアAI、新モデルに「AGIの萌芽」──CEOが自ら語る衝撃のデータ戦略

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仕事別に教えるか、未知の現場で動くモデルを育てるか

スケーリング則を重視するアドコックは、会議で「この競争は事後学習では勝てない。勝つのは事前学習だ」と言い切った。他のロボット企業のCEOから聞こえてくる見方とは、真っ向から対立する。

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ロボット開発基盤を手がけるGeneral Roboticsのアシス・カプーアCEOは、ロボットの知能を3層に分けている。最下層はOpenAIなどが開発する最先端のAIモデル、中間層はロボット向け基盤モデル、最上層は特定の仕事に合わせた事後学習だ。

カプーアは2026年10月の取材で「中間層には数十億ドル(数千億円規模)が投じられてきたが、最下層と中間層は融合すると考える十分な理由がある」と語った。仮に2つの層が統合すれば、特定企業の具体的な仕事にロボットを適応させる事後学習へ、事業価値が移ることになる。

中国のロボット企業ユニツリーを創業した王興興は、ロボットで「GPT-6」を試し、非常に良好な結果を得たと述べている。産業用ロボット企業Standard Botsは、工場での事後学習を事業の柱に据える。

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アドコックも事後学習の有効性を否定しているわけではない。フィギュアAIは「事後学習では、おそらく世界一の企業」であり、データさえあれば、ほとんどの仕事を教えられると自負している。ただ、事後学習は広範な現場へ展開しにくい。住宅や倉庫、工場が変わるたびに専用の学習が必要なら、汎用ロボットは実現しない。高額なコンサルティング事業にとどまってしまうという。

初めての顧客施設でも追加学習なしで作業した

アドコックの指摘には説得力がある。短期的には、フィジカルAIの基盤モデルが十分に成熟しておらず、仕事ごとの事後学習が大きな差を生むかもしれない。さらに先には、基盤モデルが進歩し、人型ロボットが建設現場に入るなりツーバイフォー材にくぎを打ち、壁を組み立てられる未来が考えられる。AGIの萌芽が育った未来だ。

フィギュアAIが目指すのは、初めて行く場所でも、すぐに作業を始められるロボットである。アドコックによれば、兆候はすでに現れている。新規顧客の施設にロボットを導入したところ、照明もコンベヤーも以前とは違っていたが、現場で追加学習することなく仕事をこなしたという。

さまざまな環境に適応できる1つのモデルを、競合を上回る巨大なデータセットで事前学習する。フィギュアAIは汎用性を獲得する道筋を、そのように描いている。

現金残高約3160億円超、未公表の資金調達をめぐる観測

フィジカルAIの開発には多額の資金が必要だ。実際にロボットを製造する費用まで加えれば、負担はさらに大きくなる。フィギュアAIには、発表済みの金額を上回る資金が流入した可能性がある。

「現金残高は20億ドル(約3160億円)を超えている」とアドコックは2026年10月の全社会議で語った。クランチベースによる公表済みの資金調達総額は約19億ドル(約3002億円)である。2025年9月のシリーズCでは10億ドル(約1580億円)超の出資確約を獲得し、調達後の評価額は390億ドル(約6兆1620億円)に達した。

フィギュアAIは、製造拠点「BotQ」の建設計画を2025年3月に発表した。全社会議までにFigure 03を1000台以上製造し、チームの規模を倍増させ、データに週1000万ドル(約15億8000万円)近くを使うようになった。現金残高が公表済みの調達総額を超えていることから、相当額の追加出資があったと考えられる。

アドコックは追加出資の金額や出資者を明かさず、「時期が来たとき」に公表すると述べた。2026年9月に発表されたNscaleとの提携には戦略的出資も含まれるが、出資額は公表されていない。

米テックメディアのジ・インフォメーションは2026年10月上旬、エヌビディアがフィギュアAIへの10億ドル(約1580億円)の追加出資を協議したと報じた。出資前の評価額は約380億ドル(約6兆40億円)とされた。私がHumanoidMegaHubに掲載している調達総額29億ドル(約4582億円)という見積もりは、この報道を踏まえたものだ。

「AGIの萌芽」は証明できるか、巨額投資の成否はまだ分からない

アドコックによると、フィギュアAIは2026年9月、過去最大の事前学習用データセットと最多のGPUを使い、新たなAIモデルを学習させた。社内で「Black Box」と呼ぶ敷地内の遮光した住宅でテストしたという。従業員が見たのは短い予告映像だけで、会社はモデルの詳細を公開していない。

さらに大規模なモデルも会議時点で学習中だった。アドコックは会議から数週間で完成する見込みだと話し、半年間に学習させるモデルは「とんでもないものになる」と予告した。

本当にAGIの萌芽なのか。AIの世界ではAGIという言葉の使われ方が幅広く、現時点では判断できない。フィギュアAIが、新モデルにとって未知の作業や場所で何を実行できるのかを公開するまでは、能力を確かめる方法はない。

ただし、フィギュアAIが何に賭けているかは明確で、数値で測ることもできる。競合を上回る規模のデータと計算能力を確保し、個別の仕事に特化させるより、学習規模を拡大する方が重要だと信じて投資する戦略だ。

言語モデルと同じようにロボットでもスケーリング則が成り立つなら、この組み合わせに追いつくのは難しい。だが、法則が成り立たなかったらどうなるのか。見込み違いを知るために払う代償としては、あまりにも高額だ。

(forbes.com 原文)

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