新議会でマスクとDOGEを調査すると見込まれる委員会は、下院監視・政府改革委員会だけではない。上院で政府運営や公務員制度、連邦政府職員の保護を担当する国土安全保障・政府問題委員会なども、DOGEの活動を検証する可能性がある。次期下院議長に就任する見通しとなっているハキーム・ジェフリーズ院内総務(民主、ニューヨーク州)は4日、中間選挙後の結果を受けて出した声明で「議会は、暴走する行政府に対するチェック・アンド・バランス(抑制と均衡)の役割を果たすでしょう」と述べている。
マスク自身も、この先に何が待ち受けているかをわかっているようだ。「わたしに喧嘩を売ろうとする者たちは覚悟しておくがいい。裏で糸を引いている者どもは見つけ出し、操り人形だけでなくそいつらも追い詰める」。先月、X(旧ツイッター)にこう投稿している。これは、議会で共和党が過半数の勢力を維持するのを支援するため、マスクが中間選挙で少なくとも4億5800万ドル(約725億円)を寄付した理由の説明にもなるかもしれない。
連邦政府職員の大量解雇を除くと、DOGEに対する批判の多くは米国際開発庁(USAID)の急激な解体に向けられたものだった。USAIDは60年にわたり、世界で最も貧しい地域の人々に食料や医薬品を提供してきたプログラムだ。医学誌ランセットに掲載された論文やカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)フィールディング公衆衛生大学院の研究で推定されているところでは、USAIDへの大幅な予算削減により、2030年までに世界で最大約1900万人が予防可能な原因で死亡するおそれがある。これには5歳未満の子ども約450万人が含まれる。
このほか、海洋大気局(NOAA)などの機関をめぐっても、DOGEによる人員・予算カットの影響が、その機関のデータを頼りにしてきた米国の漁業関係者や農家、保険会社にとって継続的な悩みの種になっている。
さらに、マスクが何を見たのかという問題もある。マスクは連邦政府の契約業者であり、スペースXを通じて国防総省や航空宇宙局(NASA)にロケット打ち上げや衛星通信などのサービスを提供している。そのため、DOGEに関わっていた期間に機微な情報にアクセスしていたかどうかはとくに注目すべき問題だと、法の支配の擁護に取り組む団体デモクラシー・ディフェンダーズ・ファンド(DDF)のチーフカウンセル、バージニア・キャンターは指摘する。キャンターは、ビル・クリントン、バラク・オバマ両政権で大統領法律顧問補佐、国際通貨基金(IMF)で倫理顧問を務めた経歴をもつ。DDFは党派に属さない組織だ。


