経営・戦略

2026.11.06 14:30

マスクが711億円投じた米中間選挙、民主党勝利でテスラとスペースXに包囲網──資産に影響も

Photo by Samuel Corum/Getty Image

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Grokの性的コンテンツとテスラ車の安全性、合併構想にも規制圧力

民主党は民間企業を調査する考えも示しており、マスクの事業全体が対象になり得る。テスラに加え、AIのチャットサービス「Grok(グロック)」を運営するxAIとSNSのXを傘下に持つスペースXも含まれる。マサチューセッツ州選出の民主党議員エド・マーキー上院議員は11月3日夜、テック大手の経営者に触れた投稿に対し「我々が印刷する召喚状を全部まかなうには、新しい森を植える必要がある」と書き込んだ。

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下院民主党はGrokを通じて生成・拡散された性的コンテンツを調査している。テスラ車について指摘されている安全上の問題に対処する法案も提出した。

ニューヨーク・タイムズの報道によると、マスクが示唆したテスラとスペースXの合併が進めば、議会民主党が阻止に動く可能性もある。データセンターや電気自動車、AI全般など、マスクの企業の中核事業に関わる規制法案を可決する可能性もある。

テキサス州で政権交代、マスクへの優遇措置を見直す可能性

マスクがテキサス州に居を構え、事業拠点を移した理由の1つは、共和党が主導する企業に好意的な政治環境だった。マスクの企業は州の厳しい監視をほとんど受けずに済んできた。ところが、11月3日の選挙で民主党が州の主要ポストを獲得し、州下院でも主導権を握ったため、州による監督の在り方が変わる可能性がある。

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次期州司法長官のジョンソンはNBCニュースにマスクを調べると明言した。「彼は金で便宜を得る取引に関心を示してきた。自身の資産と事業を通じて公権力を動かそうとしてきた」

次期州知事のヒノホサはマスクを繰り返し批判してきた。知事選で争った現職知事グレッグ・アボットを提訴し、アボットとマスクが交わしたメールの開示を求めた。アボットはメールには「私的で公にしづらい情報」が含まれ、州法により開示する必要はないと主張し、黒塗りのないメールの公開を長く拒んできた。

ヒノホサら民主党は、テキサス州でマスクが及ぼす影響力の全容を明らかにするにはメールが欠かせないとしている。ヒノホサは就任後、マスクの州政府への影響力を詳しく調べられるようになる可能性がある。アボットがマスクに有利な取引条件を与えてきたと批判しており、過去の優遇措置を縮小することも考えられる。

新規データセンター建設の停止公約、スペースXの投資計画に打撃も

ヒノホサは選挙戦で、州議会がデータセンターを規制する法律を成立させるまで、州内の新規データセンター計画をすべて一時停止すると公約した。マスクの設備投資計画も滞る恐れがある。

ロイターの報道によると、データセンターの容量拡大はスペースXの収益計画に欠かせない。スペースXの計画には、ヒノホサが反対してきたテキサス州ボカチカでのデータセンター建設と、投資額が1億ドル(約158億円)を超える半導体工場の建設がある。半導体工場も規制上の問題に直面する可能性がある。

州政府の方針が、マスクの構想するテスラとスペースXの合併を妨げる可能性もある。ニューヨーク・タイムズは、テキサス州の商事裁判所が下した判断への上訴を審理する第15控訴裁判所で、民主党が主導権を握る見込みだと伝えた。

マスクが議会の召喚状を拒否すればどうなるのか

民主党が連邦議会の主導権を得て召喚状を出した場合、マスクがどう応じるか、拒否すればどのような結果になるかは不明だ。議会が適法に発行した召喚状には法的拘束力があり、従わなければ議会侮辱に問われ得る。最も重い展開は、刑事上の議会侮辱で起訴され、有罪となって拘禁刑を科されることだ。

ただし、刑事訴追にはトランプ政権の司法省が動く必要がある。司法省が政治的な盟友であるマスクを起訴する可能性は低い。トランプが先回りして恩赦を与えれば、連邦の刑事訴追から守られる可能性もある。

議会は裁判所に召喚状の履行を求める民事訴訟を起こすこともできる。裁判所の命令にも従わなければ制裁金などが科され得るが、世界一の富豪にとっては重い制裁になりにくい。

議会には、司法省や裁判所を介さずに議会侮辱に対処する固有の権限もある。下院または上院の警備を担う責任者にマスクを直接拘束させることができる。議会が自ら人を拘束する手段は近年ほとんど使われておらず、民主党議員がマスクに対して行使すれば異例の措置になる。

(forbes.com 原文)

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