DOGEでの役割と政府契約、マスクの公的な立場が問われる
民主党が早期に着手する調査の有力候補がDOGEだ。第2次トランプ政権の発足直後、マスクが進めた歳出削減によって米国際開発庁(USAID)などの政府機関は機能を大幅に削られ、政府職員の大規模な解雇も起きた。
米国民の個人情報の共有をめぐっては、プライバシー保護への懸念が相次いだ。トランプ政権はDOGEの活動期間中、マスクがどのような役割を担い、誰が組織を運営していたのかを明らかにしようとせず、透明性の欠如も問題視された。
DOGEについては、複数の議会委員会が調査に乗り出す可能性があると、米政治メディアのポリティコが選挙前に報じた。下院監視・政府改革委員会の次期委員長は、カリフォルニア州選出で民主党のロバート・ガルシア下院議員だ。ガルシアの報道担当サラ・ゲレロは「DOGEでマスクが果たした役割には疑問が多く、調べる予定だ」とポリティコに語った。
下院外交委員会の民主党筆頭委員を務めるグレゴリー・ミークス下院議員(ニューヨーク州選出)は「マスクとDOGEがもたらした損害の全容解明」を求めた。ミークスは、委員会による監視を「誰にも妨げさせない」と述べた。
政府契約は退任後も増加、マスクは職務を自社の利益に使ったのか
左派系の監視団体Democracy Defenders Fundは、マスクの企業が獲得した政府契約を分析した。マスクが特別政府職員としてDOGEを主導していた期間には、傘下企業が推定63億ドル(約9954億円)の契約を獲得していた。マスクがトランプ政権を離れた後も、少なくとも100億ドル(約1兆5800億円)分の契約を新たに受注した。
米公共ラジオのNPRは、マスクが政府での立場やトランプ政権との関係を自身の金銭的利益のために使った可能性がないか、民主党が調べる見通しだと報じた。NPRによると、DOGEでの立場を利用して自社に利益をもたらす行為は違法になる。
元ホワイトハウス倫理担当弁護士のリチャード・ペインターはNPRに「スペースXは大手の政府請負業者で、米航空宇宙局(NASA)や国防総省から多額の資金を受けている。マスクがスペースXに影響すると知りながら政府の仕事に関与したなら、犯罪を犯したことになる」と語った。
ウクライナでの通信制限とロシア政府との連絡も争点
マスクと外国政府との関係も調査対象になり得る。民主党議員は、マスクがウクライナでスターリンクの利用を制限したとの報道や、ロシア政府と連絡を取っていたとの報道に疑問を呈している。
カリフォルニア州選出の民主党議員マイク・レヴィンは11月1日、Xにこう書いた。「マスクが意のままに米国の同盟国の軍事作戦を妨げ、ロシア政府と直接連絡を取れるのに、米国民にも米政府にも説明責任を一切負わないことがどうして許されるのか」。レヴィンは、ロシア当局者との会話の内容、スターリンクの通信が妨げられた問題との関係、トランプ政権が何を知っていたのかを明らかにするよう求めた。


