北米

2026.11.06 09:00

「2つの国、1つの電力網」時代の終わりに? カナダが「米国外し」の送電線拡充を計画

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2つの国、1つの電力網

北米の電力網は4つの系統で構成されている。国境を越えて広がる「東部相互接続系統」と「西部相互接続系統」、米テキサス州の電力網「ERCOT」、そしてカナダ東部ケベック州の電力網である。カナダと米国は、合計でおよそ28ギガワットの容量を持つ送電線で結ばれている。一方、カナダの州間を接続する送電線の容量は合計で17ギガワットほどにとどまる。

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オンタリオ州の発電所と米東部ニューヨーク州の発電所は1つのシステムに組み込まれており、同期して稼働している。カナダ西部ブリティッシュコロンビア州の発電所と米西部ワシントン州の発電所の場合も同様だ。両国は、北米電力信頼度協議会(NERC)が定める同じ信頼度基準にも従っている。

米国の電力供給の信頼性を損なうおそれ

カナダ国内を結ぶ送電線が増えれば、カナダ側の電力網の信頼性は向上するだろう。しかし、米国側の電力供給の信頼性は損なわれるかもしれない。

オンタリオ州とケベック州の送電線からは合計でおよそ4600メガワットの電力を供給できる。これはニューヨーク州における夏のピーク需要のおよそ15%に相当する量だ。実際、ニューヨーク州は熱波に見舞われた今年7月3日、電力需要の9%をカナダからの輸入で賄っている。また、米コーネル大学の最近の研究によると、ニューヨーク州の電力需要は5分間隔で見ると、最大45%がカナダからの供給で満たされている場合もあった。

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5分間というのは取るに足らない時間に思えるかもしれないが、そうではない。電力網では供給と需要を秒単位で一致させなければならない。需給が逼迫しているときにこれほど大量の電力を失えば、保護システムが作動し、障害が地域全体に連鎖的に広がりかねない。

もとより、依存関係は一方向ではない。カナダのエネルギー規制庁によると、ブリティッシュコロンビア州は2023年、州内の貯水池の水位が低下していた時期に、米国からの電力の純輸入量が同州での発電量の18%にのぼった。

電力網の分断が進めばどうなるのか

仮に両国の電力網が分断されれば、両国はそれぞれ異なる問題に直面する。カナダは通常、国内の消費量を上回る電力を発電しているため、主な課題は国内の州間で電力を融通するための送電線の整備になる。他方、米北東部では発電能力を増強する必要が生じるだろう。ニューヨーク州の電力網運用機関は今年、老朽化した発電所の廃止が、新たな電力供給源の稼働開始よりも速いペースで進んでいると警告している。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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