法律が成立してから3年が経過しても、驚くべきことにこの機会に飛びつく起業家は一人もいなかった。エクルズはその機会を逃さず、2009年に他の4人とともにファンデュエルを立ち上げた。シンプルさとスピード感のあるファンタジー賭博を提供することで、5年後の現在、ファンデュエルは米国の4100万人のファンタジースポーツ・プレイヤーの2%にあたる110万のアカウントを獲得している。
ファンタジースポーツの人気は高いものの、一般のファンや若いプレイヤーを依然としていらだたせている。リーグ戦はシーズン全体にわたってダラダラと続く。悪いチームを編成してしまうと、プレイヤーは6カ月間そのチームに縛られる。真剣なプレイヤーは、大量の統計データやロースター(選手名簿)の変更、負傷者情報などを読みこなす。そんなことをしている時間など、誰にあるだろうか。
ファンデュエルは、それらの労力を一度の参加で済むシンプルな選択肢へと圧縮する。プレイヤーはわずか1日や週末だけでも参加できる。「人々が愛するものを、もっと速くすれば、それは必ずうまくいきます」とエクルズは語る。ファンデュエルの初期の支援者であるブルペン・ベンチャーズのポール・マルティーノは、「シェアを2%から20%に伸ばすのは、坂道でボールを転がすようなものでしょう」と語る。
ファンデュエルのマーケットプレイスでは、無料で遊ぶことも、最大5000ドルを賭けてNFL、NBA、NHL、さらには大学フットボールやバスケットボールの選手でチームを編成することもできる。一対一で対戦することも、最大12万5000チームが参加するリーグで遊ぶことも可能だ。勝利するチームは、最も優れた選手統計を記録したチームであり、それがファンタジーポイントに換算される。
ファンデュエルは賞金の平均9%を手数料として徴収する。アルゴリズムを駆使するサメのようなファンタジースポーツのプロが、小魚のような初心者を食い物にしないよう、エクルズは1人のプレイヤーがエントリーできるコンテストの数に上限を設けている。これにより、プロは1000ドルのゲームへと誘導され、カジュアルな5ドルのコンテストは私たちアマチュアに残される。


