ChatGPTも広告を拡大、企業は広告出稿とAIによる情報の引用を区別する
グーグルと同様に、OpenAIもChatGPTの利用を広告収益につなげようとしている。The Vergeの報道によると、フライは記者団に、現在ChatGPTで表示している広告を利用者は気にしていないようで、広告の表示量をさらに増やせると語った。
企業のマーケティング担当者は、ChatGPTが生成する回答に自社の情報が表示されるかだけでなく、ChatGPTの広告枠を購入するかどうかも判断する必要が出てきた。実務上、次の3点が重要になる。
広告の効果測定、長い質問文への対応、AIが生成する回答での露出
・広告効果の測定は、当面難しくなる:OpenAIもグーグルも、会話型検索の件数、広告の表示量、クリック率を、広告主が共通の基準で比較できる形では公表していない。広告予算を決める際は、各社が示す検索のシェアより、自社で直接収集したデータや、広告を出さなかった場合と比べて成果がどれだけ上積みされたかを測るテストが重要になる。
・長い質問文ほど、利用者の意図が具体的に表れる:ChatGPTやAI モードを使った会話型検索では、利用者が何を求め、どんな条件を重視するかが、短い検索語よりも詳しく表れる。具体的な利用場面、比較する商品やサービス、利用上の制約に合わせたコンテンツは、2語程度のキーワードだけに最適化したページより、AIが生成する回答に取り上げられやすくなる。
・AIが生成する回答での引用は、独立した情報接点になる:自社の情報がAIによって生成された回答で引用されることと、従来の検索結果で自社サイトが上位に表示されることは、関連していても別の目標だ。企業はそれぞれの露出状況を分けて追跡する必要がある。
アンソロピックの上場で、AI企業の売上高と利用統計の開示が焦点になる
AI企業の実力を判断する際には、検索件数や利用者数だけでなく、売上高とその開示方法も評価材料となる。AlphaSenseによると、AIモデル「Claude」を開発するアンソロピックは、銘柄コード「ANT」でナスダック市場への上場を計画している。投資家説明会は2026年11月9日頃に始まる見通しだ。
上場申請書によれば、2026年上半期の売上高は163億ドル(約2兆5795億円)で、前年同期の約12億ドル(約1899億円)から増加した。同社が11月2日に提出した修正上場申請書によると、2026年7〜9月期の売上高は169億5600万ドル(約2兆6833億円)だった。
アンソロピックとOpenAIは、異なる方法で収益を得ようとしている。アンソロピックはClaudeに広告を表示しない方針を示し、企業によるAIの導入を収益の柱に据えている。OpenAIは消費者向けChatGPTで広告の表示を増やしている。
アンソロピックが上場すれば、投資家は少なくとも大手AI開発企業1社について、監査済みの財務情報を含む定期的な数値開示を確認できるようになる。OpenAIが示す週間利用者12億人や、グーグルの約20%に相当する検索量は、引き続き自己申告の数字だ。開示情報の違いが明確になるほど、フライが示した検索件数の算定方法について、説明しないままで済ませるのは難しくなるだろう。
検索市場の競争を判断するには、算定方法と広告収益、上場価格を確認する
グーグルの検索事業が実際にどの程度競争にさらされているかは、OpenAIが示す検索量だけでは判断できない。検索件数の算定方法、グーグルの検索事業の収益化、企業向けAI事業に対する株式市場の評価という3点が重要になる。
(1)OpenAIの検索件数の算定方法。グーグルのどの集計値を比較に使ったのか。ChatGPTで質問を重ねた場合、検索件数をどのように数えるのか。
(2)グーグルの2026年10〜12月期決算。AI モードから得られる収益が増え、検索件数の伸びと検索売上高の伸びの差が縮まるか。
(3)アンソロピックのIPO価格。消費者向け広告ではなく、企業向けの売上高を収益基盤とするAI企業を、株式市場がどう評価するか。


