物流や自動車関連の施設で働くDigit、農機大手も試験導入へ
Digitを使う顧客の数はまだ多くないが、実際の業務への導入は始まっている。物流会社GXO、自動車・産業機械向け部品メーカーのシェフラー、トヨタ自動車のカナダの製造会社Toyota Motor Manufacturing Canadaで、Digitがすでに働いている。Agilityにとって初の有償顧客だったGXOは、2026年10月に追加導入を決めた。ジョージア州の既存施設ではDigitが10万個以上の搬送容器を運んだ。GXOは2027年初めに米国内の別の2施設でもDigitを導入する。
農業機械大手AGCOは、2027年からカンザス州で試験導入を始める契約を結んだ。Agilityによれば、社名を公表していない世界的な自動車メーカー、大手自動車部品メーカー、世界的な消費財メーカーの計3社も、有償で試験的な運用を進めている。さらに30社を超える見込み顧客があり、ジョンソンは2027年末までに100社を超えると予想している。
製造業で埋まらない求人、2032年には約190万人分に達する可能性
需要を生む最大の要因は人手不足だとジョンソンは考えている。ジョンソンによれば、2025年には製造業の40万人分を超える求人が埋まらず、状況が変わらなければ2032年には約190万人分に達する可能性がある。「顧客企業にとって事業の存続に関わる問題だ。生産性も効率も下がってしまうからだ」と話した。
人型ロボットの訓練データ、Agilityは現場での稼働記録を重視
人型ロボットの開発では、訓練に使うデータの確保が急速に最大級の費用項目になりつつある。Agilityより家庭向けの人型ロボットに重点を置くFigureは、ロボットの訓練データに週約800万ドル(約13億円)を費やしているという。10億ドル(約1580億円)規模のデータ投資計画の一部だ。シミュレーションに力を入れる企業もあれば、作業ごとの追加訓練なしに新しい仕事へ対応できる最先端AIモデルに期待する企業もある。Agilityはシミュレーション、人間の実演を通じた学習、動きを記録するモーションキャプチャーを組み合わせている。
6万5000時間超の稼働記録をDigit 5の学習に活用
ジョンソンが最も価値を認めるのは、顧客施設でDigitが実際に働いている際の記録だ。「顧客施設への導入を通じて得られるデータが、何よりも貴重だ。ロボットが実際に仕事をしているときに取得した、現実の運用データだからだ」と説明する。
Agilityは約3年間の顧客施設への導入を通じて、6万5000時間を超える実運用データを蓄積した。蓄積したデータはDigit 5の訓練にも使える。ジョンソンは、導入先が増えるほどデータが増え、新しい仕事を学習する速度も上がる好循環が生まれると説明する。ただし、公表されている「6万5000時間」という数字は、少なくとも数カ月間更新されていない。次に公表される数字から、実際の利用が加速しているか確かめたい。
ロボットの運用データは誰のものなのか
「導入先が増えるほど、得られるデータも増える。ロボットに関するデータはAgilityのものであり、訓練モデルにも取り込める。もちろん、顧客施設にあるあらゆる情報がAgilityに帰属するという意味ではない。ロボットの動きなど、実際の物理的な運用データを利用できる」とジョンソンは述べた。


