北米

2026.11.06 11:00

9分充電で90分働く人型ロボットのAgilityが上場、約735億円を調達し量産に挑む

Agility Roboticsの人型ロボット「Digit 5」。(C)Agility Robotics

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安全柵の外でも作業できる新型人型ロボット、「Digit 5」の量産を目指す

上場で手にする資金を使って、Agilityは何を実現するのか。人型ロボットの開発・製造には巨額の資金が必要で、生産を拡大する時期の判断は経営上の大きなリスクを伴う。量産に適さない機体を早期に大量生産すれば、数千万ドル(数十億円規模)、場合によっては数億ドル(数百億~千億円規模)を無駄にしかねない。ジョンソンは、2026年9月に発表した人型ロボット「Digit」の新型モデル「Digit 5」こそ、量産の基盤に適していると考えている。Digit 5は2027年初めから顧客施設に登場する予定だ。

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ジョンソンが重視するのは、安全柵で囲まれた作業区画の外でも働ける設計だ。「Digit 4も、同様の施設で使われてきた従来の人型ロボットも、安全柵の内側でしか作業できなかった。Digit 5は区画の外へ出られる」と説明した。

安全柵の中でしか働けなければ、人型ロボットも非常に高価な単一用途の機械に近い。多数の機体を同時に稼働させても安全システムが機能することが前提だが、柵の外でも活動できれば、人間の作業員のようにさまざまな仕事をこなせる。「施設内のある場所で仕事を終えたら、別の場所へ歩いて移動し、違う仕事に取りかかる。1日を通して何度も仕事を切り替えられる多目的ロボットだ」とジョンソンは話した。

Digit 5に約474億円超の受注、売上高への転換が課題

顧客もDigit 5の実用性に期待しているようだ。Agilityによると、Digit 5には複数年にわたり総額3億ドル(約474億円)を超える確約済み受注がある。ただし、契約上の達成条件を満たし、製品が所定の機能と仕様を備えることが前提だ。投資家が注目するのは、受注額のうち実際にどれだけを売上高として計上できるか、さらに契約済みの案件を超えてどれほど速く事業を拡大できるかだ。顧客への先行提供は2027年上半期、一般提供は2027年末を目指している。

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長時間稼働や部品交換など、現場の要望を反映した改良

Digit 5に加えられた改良の多くは、旧型のDigit 4を運用する顧客の要望を反映したものだ。特に多かったのは、2交代制(16時間)相当の勤務時間を超えて稼働できるようにしてほしいという要望だった。新たなバッテリー提携先のNyoboltが重要な役割を担い、ジョンソンによれば作業時間と充電時間の比率は10対1になるという。「90分働いたら戻ってきて、わずか9分で超急速充電し、また現場へ出られる」と説明する。

Digit 5は24時間のうち約20時間稼働できる計算になり、24時間操業する施設にとって大きな改善となる。仕事に合わせて「手」に相当する先端部品(エンドエフェクター)を交換できる機構も備えた。関節などを動かす駆動装置には強化したサイクロイド式アクチュエーターを採用し、50ポンド(約22.7キログラム)の荷物を繰り返し持ち上げられる。米労働安全衛生局(OSHA)の安全指針でも、約50ポンドを超える荷物を人が持ち上げると負傷の危険が高まるとされる。ジョンソンはDigit 5の能力を「ある意味では、ほとんど超人的だ」と評した。

Digit 5のハードウェアの設計が完全に確定したわけではない。ジョンソンによると、作業能力を高めるソフトウェアは無線通信で更新できる。将来、腕や脚を改良したい場合も「すべて交換できる」と話している。

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