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AI

2026.11.06 15:15

AIは「使う」から「任せる」へ タイで見えた企業経営の次のフェーズ

Techsauce Global Summit 2026のメインステージ。タイ・バンコクのクイーンシリキット国際会議場で開催された

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日本の企業は、何から始めるべきか

では、日本の中小企業は、この変化にどう対応すべきなのだろうか。

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会場内に設けられた「Japan Zone」。日本企業による展示・プレゼンテーションも行われていた
会場内に設けられた「Japan Zone」。日本企業による展示・プレゼンテーションも行われていた

総務省が2026年7月に公表した情報通信白書によると、デジタル化に取り組む企業を対象とした2025年度の調査で、何らかの業務に生成AIを利用していると回答した日本企業の割合は86.4%に達した。一方、生成AIによる業務変革に向けた組織的な取り組みの状況を尋ねた別の設問では、「組織的な取り組みはない」と回答した割合が27.0%となっている(米国は1.4%)。

こうしたデータを見ると、日本でも生成AIの利用は急速に進んでいる一方で、組織全体の業務改革という点では、まだ課題が残っていることがわかる。

筆者自身、中小企業に対する生成AIの導入支援や実務研修を行っている。そのなかで感じるのは、多くの企業がAIの可能性を理解し始めているものの、それを日常業務の流れにどう組み込めばよいのか、試行錯誤しているということである。

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例えば、営業担当者が生成AIを使って提案書を作成することは、それほど難しくなくなった。しかし、実際の営業活動には、顧客からの問い合わせ対応、商談内容の記録、提案書や見積書の作成、受注後の情報共有など、複数の業務が存在する。これらを一つずつ効率化するだけでは、全体の業務改善につながらない場合もある。

AIに仕事を任せることを考えるのであれば、まずは一連の業務を整理し、どこまでをAIに担当させることができるのかを検討する必要がある。その際には、AIが利用する情報の管理や、作業結果の確認方法も重要になる。特に顧客情報などを取り扱う場合には、AIに与える権限や情報の取り扱いについて、適切なルールを設けなければならない。

ただ、中小企業には大企業にない強みもある。それは、経営者の判断によって、仕事の進め方を比較的短期間で変更できることである。企業の規模が小さいからこそ、AIを前提とした仕事の進め方へと転換しやすい。

もちろん、最初からすべての業務をAIに任せる必要はない。まずは特定の業務を選び、AIがどこまで対応できるかを検証する。そして、成果が確認できれば、対象となる業務を広げていく。

AIが生み出した余力を、何に使うのか

今回のテックソースで、特に考えさせられたのは、AIによって生まれた時間や能力を、企業が何に使うのかという問題であった。

例えば、これまで10人で行っていた仕事を、AIの活用によって5人でできるようになったとする。残りの5人の仕事が不要になったと考えることもできる。しかし、これまで人手が足りずに取り組めなかった新規事業や、十分な時間をかけられなかった顧客対応に、人材を振り向けることもできるはずだ。人手不足が深刻化する日本の中小企業にとって、後者の考え方は特に重要ではないだろうか。

筆者は、AIが進化するほど、人間にしかできない仕事の価値も高まっていくと考えている。顧客との信頼関係を築くこと。新しい事業の方向性を決めること。そして、結果に責任を持つこと。AIがどれほど高度になったとしても、こうした役割を完全に任せることは難しいだろう。

これから経営者に求められるのは、AIを導入するかどうかという判断ではなく、AIが仕事を担うことを前提として、自社の業務や組織をどう変えていくかという視点である。

AIを「使う」企業から、AIに「任せる」ことを前提とした企業へ。今回のテックソースは、企業経営が新たな段階に入り始めていることを実感する機会となった。

文・写真=田中森士

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