日本のビジネスパーソンへ
日本では、謙虚さや気配り、場を乱さないことが美徳とされてきた。これは、クラスアクト的な振る舞いの素地が、日本のリーダーに自然に備わっているということでもある。大きな強みだ。昨今の社会ではこの点が以前に増して、一層大きく評価されるようになったと思う。
「声が大きい、なんでもかんでも言う、アプローチが強烈」といった要素ばかりがもてはやされた時代が、変わりつつある。静かであっても意思があり、言葉少なでもそれを伝えられれば、無駄のない的確さとして、個性であり強さと理解され始めている。
ただ、グローバルな場では、まだまだそれが強みとして伝わりにくい。控えめな態度や、意見を曖昧にする配慮は、「意思が見えない」「決める人ではない」と受け取られてしまうことがあるのだ。能力があるのに、見え方・見せ方のせいで過小評価される。筆者が現場で何度も目にしてきた光景である。
ここで必要なのは、品格を捨てることではない。品格はそのままに、主張と決断の見せ方を足すことだ。たとえば、感情的にならず、端的に結論を先に述べる。反対意見を伝えるときも、相手への敬意を保ったまま、自分の立場を明確にする。沈黙を恐れず、考えをまとめる間を堂々と取る。どれも、品を損なわずにできることばかりだ。むしろ、品格があるからこそ、はっきり言っても角が立たない。
自分を点検するための2つの問い
最後に、自分を点検するための問いを二つ挙げたい。
一つ目は、クラスアクトの問い。「誰も見ていない場面でも、同じ態度でいられているか」。二つ目は、エグゼクティブ・プレゼンスの問い。「直近の何かを決める場で、自分は何を決め、何を引き受けたか」。
前者は在り方を、後者は役割を問う。どちらかだけでは足りない。品格という土台の上に、決断と責任という柱を立てる。強さと優雅さは、トレードオフではない。リーダーが目指すべきは、その両方を備えた存在だ。クラスアクトを備えたエグゼクティブ・プレゼンスは、無敵である。


