日本の資本市場が歴史的な転換期を迎え、新NISAによって資産運用がより身近なものとなる中、就活を控えた大学生にとっても、証券業界や資産運用業界への関心が高まっている。しかし、日本は海外に比べ、実践的な金融教育の機会が決定的に不足している。この課題に挑むのが、日本最大級の大学生企業分析コンテスト「Gyoseki Competition(Gyoseki大会)」だ。京都大学工学部で物理工学を学んだ菅原康生は、学生時代最後の挑戦として第4回大会に出場し、決勝大会で4位に入った。現在は大和証券グループの投資会社、大和PIパートナーズで債権や不動産への投資に携わる。菅原に、投資家としての原点と、大会で得た学びについて聞いた。
──投資や金融に興味をもったきっかけを教えてください。
大学3年生の春に、株式投資や企業分析を学ぶ「京都瀧本ゼミ」というサークルに入ったのがきっかけです。それまではつみたてNISAなどを少しやったことはありましたが、もっと本格的に金融や株の勉強がしたいと思ったんです。
ゼミといっても大学の講座ではなく、学生が自主的に運営しています。京都大学で教鞭を執り、エンジェル投資家としても活動していた瀧本哲史先生のゼミを、先生が亡くなった後も学生たちが続けているんです。メンバーは20人ほどで、毎週集まり、先輩が後輩に企業業績の分析や株価の予想の仕方を教えます。
半年に1度、自分で1社上場企業を選び、その企業の株価予想をゼミ全体にピッチする発表会があり、いい発表ができなければ残れない「Fire制度」もありました。学部は関係なく、中には医学部の人もいて、本当に株が大好きな人たちの集まりでした。
──専攻は工学部の物理工学科でした。就活では理系の道は考えなかったのですか。
物理工学では、流体力学や熱力学といったいわゆる「四力」を学び、私はエネルギー工学を専攻しました。すごく面白かったのですが、研究が人々の暮らしに影響を与えるまでには、20年、30年という長い年月がかかります。それよりも、サイクルの速い世界に引かれたんです。
何かきっかけになる出来事があったわけではありません。金融ってどんなところだろうとのぞいてみたら、どんどん沼にはまっていった感じです。瀧本ゼミでOBの方から運用会社の話を聞くうちに、投資を仕事にするのは面白そうだと思うようになりました。
──Gyoseki大会には、どのような経緯で出場したのですか。
前年にゼミの先輩が出場していて、名前だけは聞いていました。3年生のときは就職活動で出られなかったのですが、4年生になり、「学生時代の最後に自分が頑張った証しを残したい」と思って挑戦しました。チームは3人で、ひとりはゼミの1年生の後輩、もうひとりは内定先の同期です。その同期とは今、隣の席で働いています。



