米国時間11月3日、原油価格の上昇に伴って銀価格が2025年11月以来の安値をつけたほか、金価格も年初来安値に近い水準で推移した。ただ、その後は原油価格が再び下落に転じたことで、金と銀はいずれもわずかに反発している。
銀価格は3日午前に一時4%以上下落して48.62ドルの安値をつけ、2025年11月以来の低水準に落ち込んだ。今年序盤に記録した120ドル超の高値からは大きく値を落としている。
その後はわずかに持ち直したものの、米東部標準時午前9時30分時点では約1.3%安の50.19ドルで取引された。
一方、金価格は午前9時30分時点で約3960ドルとほぼ横ばいで推移しているが、この日の取引序盤には一時3904.10ドルまで下落し、先週末につけた年初来安値に迫る場面もあった。
米軍によるイラン・ゲシュム島への軍事攻撃を受けて原油価格が急伸し、これが貴金属市場における持ち高調整(売り)の引き金となった。ただ、北海ブレント原油先物は午前9時30分時点で1.68%安に転じている。
デンマークのオンライン投資銀行サクソバンクでコモディティ戦略責任者を務めるオーレ・S・ハンセンは、3日の価格下落は「脆い市場心理」を反映したものであり、「テクニカル要因や相場の勢いに主導された売り」が需要を上回ったからだと指摘した。そのうえで、投資家の関心は今後、米中間選挙や中東情勢、エネルギー価格に向かうだろうと述べている。
KCM Tradeのチーフ市場アナリストであるティム・ウォータラーはロイターに対し、中間選挙で民主党が上下両院を制する「圧勝」となれば、「AIデータセンターの建設やハイテク株取引全般にとって、より厄介な事態になる可能性が高い」と指摘。「規制当局の監視強化によってハイテクセクターにさらなる圧力がかかれば、その影響が金相場にも波及しかねない」と語った。
また、ワールド・ゴールド・カウンシルのチーフ市場ストラテジストであるジョン・リードはブルームバーグに対し、貴金属価格にとってはどの政党が議会の主導権を握るかよりも金融政策のほうが重要だと述べた。仮に民主党が議会の過半数を奪還した場合でも、「金相場に一方向のトレンドを決定づけるというよりは、政策の不確実性と市場リスクを高める要因として意識される可能性が高い」との見方を示している。
米連邦準備制度理事会(FRB)は前回の10月会合で政策金利を据え置いたが、12月の会合では利上げに踏み切る公算が大きいとみられている。CMEグループのFedWatchツールによると、12月会合での利上げ確率は約75%、据え置きされる確率は約25%、利下げの確率は0%とされている。先週には、セントルイス連銀とダラス連銀の総裁がインフレを抑え込むためには少なくともあと2回の利上げが必要になるとの見解を示した。
金と銀の価格は数カ月にわたる上昇相場の末、今年序盤に過去最高値を更新し、金は5600ドル、銀は121ドルに達していた。当時は米国の利下げ、ドナルド・トランプ大統領の関税政策、テクノロジー産業からの金属需要、さらには国際的な緊張の高まりなどが相場を押し上げていた。しかし1月下旬、トランプが次期FRB議長にケビン・ウォーシュを指名したことで価格は急落した。ウォーシュが他の有力候補よりも金融政策に対してタカ派的だと受け止められたためだ。また、イラン紛争の期間中、金と銀は原油と逆の値動きを見せて総じて下落傾向をたどり、夏場を通じて落ち着いた推移が続いた後、8月下旬には一時急騰して15週間ぶりの高値をつけていた。



