湾岸データセンターには通信と安全保障の制約も
湾岸の計算設備は、用途によって向き不向きがある。最先端AIモデルの学習は数カ月にわたるが、処理の中心は半導体間の通信であり、モデルの最終利用者から離れた施設でも実行できる。
対照的に、欧米の顧客へリアルタイムでサービスを提供する場合、通信の遅れやデータの保管場所を定める規則が制約になる。湾岸の設備はAIモデルの学習や、中東、アフリカ、南アジアの顧客向けサービスに適している。
戦争による施設被害を投資家はどう評価すべきか
安全保障上のリスクは、テクノロジー投資家が投資判断に織り込むことに最も不慣れな要素だ。イランは2026年2月28日から4月8日の停戦までに、UAEへドローンとミサイルを合わせて2800以上発射した。停戦は同年7月に崩れた。
2026年5月には、UAEがイラク領内から発射されたと説明するドローンが、バラカ原子力発電所の内側の防護区域より外に設置された発電機を直撃した。負傷者や放射性物質の放出はなく、規制当局によると全号機が通常運転を続けた。
エネルギー企業や海上保険会社は、同種の危険を日常的に評価モデルへ織り込んでいる。だが、AIへの投資評価は、安い電力と迅速な送電網接続を確認したところで止まりがちだ。
契約条件と輸出許可の行方など4つの指標を注視する
資金と計算設備の利用権を組み合わせる仕組みが、どこまで機能するかを見極める指標は4つある。
まず、設備の賃借権に価格や利用量があらかじめ定められているか、それとも他の希望者より優先して契約できる権利に近いか。次に、BISが2027年4月までにG42とCore42への承認について新たな通知を出すか、両社が助言的意見を求める手続きを使うか。さらに、湾岸の設備が主にAIモデルの学習に使われるのか、地域の顧客にも使われるのか。そして、他のAI開発企業も湾岸の投資家に同様の条件を求めるかどうかだ。
OpenAIの今回の調達額は、最終的に200億ドル(約3兆1600億円)を下回るかもしれない。それでも、湾岸の資金や電力と米国の承認を結び付ける取引の仕組みは、注目を集めた調達額よりも長く残るだろう。


