米国防情報局(DIA)が10月に公表した報告書によると、中国は他国の人工衛星や宇宙システムの無力化・破壊に使用できる宇宙兵器の開発を急速に進めている。
「宇宙における安全保障の課題」と題されたこの報告書は、宇宙領域での米国と同盟国の国家安全保障に関する問題について、DIAが最新の調査結果と分析をまとめたものだ。ロシア、中国、イラン、北朝鮮の宇宙計画に関する情報を提供している。
DIAはその中で、中国は他国の宇宙システムを機能停止させるために利用される可能性のある高度な宇宙システムの研究と、軌道上へのその打ち上げを着実に進めてきたと指摘している。
「中国はこれまで敵対国の宇宙能力の妨害や損傷、破壊を目的とした対衛星兵器を開発してきたし、おそらくこれからも開発を続けるだろう」と報告書は述べている。
軌道上の兵器
報告書によれば、中国政府は衛星を攻撃可能な軌道上システムを開発しているだけでなく、2006年以降、軌道上から地上、海洋、空中の目標を攻撃するのに使われる「宇宙配備型運動エネルギー兵器」を開発するための航空宇宙工学技術の研究も進めてきた。
「中国は、宇宙システムを危険にさらす能力を持つ軌道上の対宇宙兵器を含め、宇宙配備型技術を開発している」とDIAは書いている。
一例が中国の人工衛星「実践17号(SJ-17)」だ。この衛星はロボットアームを備え、これは「ほかの衛星をつかむ」のにも使用できると報告書は説明している。
DIAは、対衛星兵器はロケットやミサイルに限らないと解説している。現在は「ほかの宇宙機を攻撃できる衛星」も含まれ、攻撃手段はジャミング(電子妨害)やレーザー、化学物質の噴射、高出力マイクロ波、ロボット機構、運動エネルギーによる破壊兵器など多岐にわたる。
「極地大国」への道
報告書はまた、中国が南極の宇宙関連施設への投資を拡大していることにも注意を促している。中国は現在、南極大陸に研究基地を5カ所設けている。このうち長城基地と中山基地では、南極地域で活動する中国の航空機や船舶、車両に送られる信号を処理する拠点にもなっている。
中国が南極に置くこうした基地は、オーストラリアやニュージーランドに対するスパイ活動にも利用されるおそれがあるとDIAは指摘している。



