従業員ごとの管理対象Apple Accountでサインインする運用のほか、シフト勤務や受付端末向けに、アカウントへのサインインを必要としない一時セッションを許可する運用も可能だ。一時セッションではユーザーがサインアウトすると、セッション中にデバイス上に保存されたデータや設定が削除される。
一時セッションを使い、個人のデータをiPadに残さずに利用者を切り替えられる仕組みは、シフト勤務を伴う医療や物流、小売などの現場で特に効果を発揮する。共有iPad自体はiPad miniに限った機能ではないものの、小型・軽量な端末をチームで使い回す運用環境において、その真価を支える基盤になる。
航空分野では、キャセイパシフィック航空の取り組みが興味深い。同社は、かつてコックピットで1便当たり約70kgのマニュアルや書類を必要としていたと説明する。独自開発によるデジタル運航・気象アプリ「Flight Folder」などをiPadに投入することにより、2019年12月にはコックピットの完全なペーパーレス化を実現した。運航計画や燃料、気象などの情報をデジタル化し、更新や検索をしやすくすることで、パイロットの判断も支援している。
キャセイグループではこの取り組みを社内の効率化にとどめず、ソリューションを外販する事業へと広げてきた。2026年6月にはグループ外の貨物航空会社であるカーゴルックスへのElectronic Flight Folder導入を発表している。現場の知見から生まれたツールが、他社の業務改善を支える事業へと発展した事例だ。
これは新しいiPad miniの採用事例ではない。ただ、専門業務では必要な情報をその場で速やかに確認し、判断や行動につなげられる環境が重要であることを示している。携帯性に優れたiPadシリーズは、その環境を仕事の現場に届ける役割を担う。


