近年、イーロン・マスクは多くの人々と同様に、ビットコインや暗号資産への関心を人工知能(AI)へとシフトさせている。いま、この2つの領域が急速に交錯し始めている。
ビットコイン価格は、2025年の最高値である1ビットコイン=12万6000ドルから急落しており、過去1年で急上昇した小規模なライバル銘柄に後れを取っている。
トレーダーらが2兆4000億ドル(約377兆円)規模の「中国ショック」に身構える中、マスクはBinanceへのハッキング攻撃が、ビットコインや暗号資産にとっての悪夢の始まりにすぎない可能性があると警告した。
マスクは、暗号資産取引所のBinanceを襲った63億ドル(約9910億円)相当の攻撃のようなハッキングが、近いうちに洗練されたAIエージェントによって自らの利益のために実行されるようになると警告した。
「超知能エージェントは、人間ではなく自らのために通貨を獲得する目的で、いつかこのような行為を行うようになるだろう」と、マスクはXに投稿した。これは、Binanceのハッカーが盗んだ暗号資産の一部を事実上マネーロンダリング(資金洗浄)するために分散型金融(DeFi)プロトコルをどのように利用したかを説明する投稿に対する返信だった。
マスクの警告の背景には、AIの進化に加え、暗号資産の技術基盤を理論上無効化し得る本格的な量子コンピュータの開発競争があり、これらが開発者のセキュリティ対策を上回るスピードで進展していることへの強い危機感がある。
「こうした被害記録は更新され続けると考えるべきだ。暗号資産の価格は上昇しており、取引所が保有する資産も年々増加しているため、侵害が発生するたびに被害額は拡大する可能性がある」と、銀行およびステーブルコインのインフラ企業Trace Financeの最高経営責任者(CEO)であるベルナルド・ブリテスは電子メールによるコメントで述べた。
「変化したのは脅威のスピードだ。いまやAIツールは開発チームがパッチを適用するよりも早く脆弱性を見つけることができる。これが、ここ数カ月で重大な事件が相次いでいる理由だ」
マスクの懸念は、初期のビットコインおよびテクノロジー投資家であり、トランプ米政権に近い著名投資家のチャマス・パリハピティヤも同様の懸念を抱いている。同氏はビットコインに対して弱気姿勢に転じ、「ハッキングを受けて価格がゼロになるリスクがある」と警告する。



