トランプ支持者はどう動く?
トランプ自身が訴訟を起こさなかったとしても、選挙不正疑惑をめぐるトランプの発言が支持者らを刺激し、独自に異議申し立てを行うきっかけとなる可能性もある。
だが専門家によれば、たとえトランプと近しい候補者など、選挙により直接的な利害関係を持つ人々が異議を申し立てたとしても、やはり選挙結果を覆すことはできないとみられる。「選挙の勝者が気に入らないというのは、法的主張にはならない」とディアスは述べ、誰が提訴しても訴訟のゆくえは「同様」になると予測した。
フリードマンも、これまで州や地方の当局者に「選挙結果を認定しないよう」求める人々に対して、「原告が大統領本人や司法省でなくても、裁判所や選挙制度は一貫して断固たる態度を示してきた」と述べた。しかし、訴訟が成功しなくても、こうした試みは選挙運営をめぐる「雑音」を増大させ、「有権者がただ投票を行い、今後の制度を信頼することを難しくする」とも指摘した。
2020年の「選挙否定派」が選挙管理の要職に──懸念される影響
1つの懸念として投票権擁護派が挙げているのが、2020年大統領選の結果の受け入れを拒む「選挙否定派」の多くが現在、州と地方の両方で選挙管理の要職に就いているという事実だ。
ただ、それによって今後、選挙結果に対する異議申し立てが成功するケースが増えるかと問われたディアスは、2020年の結果に反対していた人々が、選挙管理に携わった後に考えを改めた「例は少なからずある」と答えた。こうした人たちは「制度に組み込まれたあらゆる安全策を目の当たりにして、それまでの陰謀論をすべて撤回した」という。
そのためディアスは「選挙管理当局者の不正行為については懸念していない」と述べ、むしろ、より大きな脅威は、現在連邦政府で要職に就いている「選挙否定運動の著名な指導者たちの人数」だと警告した。こうした人々は「米国を代表して司法省から」派遣されるため、自らの活動に「正当性の外観」をまとわせることができるようになったのだ。
ディアスは、2020年にトランプの弁護士だったルディ・ジュリアーニが造園業者フォーシーズンズ・トータル・ランドスケーピングで行った記者会見を例に挙げ、「内容がいかに荒唐無稽でばかげているとしても、それは公式に見え、専門的に見え、何世紀にもわたって米国人が信頼するよう教育されてきた機関から発せられている」と指摘。たとえ選挙結果が覆らなかったとしても、こうした「正当性の雰囲気」によって、トランプ政権の虚偽の主張を「より多くの一般市民が信じることにつながりかねない」と警告し、トランプ政権の戦術を「民主主義のプロセスを蝕むもの」と批判した。


