トランプは国家非常事態を宣言できるのか?
できない、と法律の専門家らはフォーブスに語っている。トランプの盟友の一部から大統領にそのような働きかけがあると報じられているが、米大統領にその権限はないというのが専門家の見解だ。
「大統領の非常権限の中に、選挙に対して行使できるものはない」とディアスは述べた。トランプは国境警備など他の問題では国家非常事態を宣言できるが、選挙に関してはそもそも権限がないのだという。なぜなら「選挙を運営するのは連邦行政府ではないからだ」とディアスは指摘。投票用紙の取り扱いについては各州・地方自治体の当局が「連邦法と各州法に基づいて責任を負っている」ため、「大統領がそれを覆そうとしても法的にできることは何もない」と説明した。
全米の選挙管理当局を支援する独立連邦機関、米国選挙支援委員会(EAC)のベン・ホブランド元委員長も、トランプが選挙に関して非常権限を発動することは「ほぼあらゆるシナリオで違法となる」とし、「選挙プロセスの大部分を最終的に規定しているのは州法であり、そのいずれにも大統領は関与していない」と指摘した。
他にトランプが取れる手段はあるのか?
試みることはできるが、合法ではない、と専門家たちは考えている。
ディアスは、トランプが大統領権限で連邦法執行機関を各地に派遣し、投票用紙や投票機を押収したり、票の集計や認証を強制的に停止したりする可能性に言及。こうしたシナリオは米国の民主主義において「まったく前例のないこと」であり「6つの点で違法」だと指摘した上で、トランプが連邦当局に指示するいかなる措置も、ただちに法廷で争われることになり、成功する見込みは低いと予測した。
フリードマンは、トランプが選挙結果に異議を唱えようとした場合に起こり得るシナリオとして、2020年にトランプが公表しなかった大統領令草案を挙げた。これは投票機や電子投票記録を不特定の投票所から押収するよう国防長官に命じるもので、投票機を不正と結びつける根拠のない誤った陰謀論に基づき、この措置は正当化されると主張していた。「今回の選挙で、こうしたことが行われるのではないかという憶測は確かにある」とフリードマンはフォーブスに語った。
リベラル系の法律・公共政策シンクタンクのブレナン司法センターによれば、トランプが今年これと同様の大統領令に署名し、同じ法的論拠を用いようとした場合、裁判所は違法と判断する可能性が高い。トランプがこの大統領令を正当化するために引用した「国際緊急経済権限法(IEEPA)」は、「外国の主体に財産権のない米国人所有の財産」を押収する権利を大統領に認めていないと同センターの専門家らは指摘している。


