関係性が深ければ、肩書など付随的なものに思えてくる。ジョン・F・ケネディが大統領に就任した際、彼は弟のロバート(ボビー)・ケネディを司法長官に任命した。しかしボビーは大統領の人生において遥かに親密な領域を占めていた。彼はジョンの大統領選挙運動を取り仕切り、その政治的直感を理解し、他のアドバイザーには到底不可能な方法で大統領に異論を唱えることができた。キューバ危機の間、ボビーは大統領が最も信頼する側近の1人となった。そしてソ連大使との秘密の仲介者として役割を果たし、メッセージを伝えて平和的解決への道を模索した。
これらの関係性はそれぞれ異なる形態をとる。チーフ・オブ・スタッフは、リーダーが組織を調整し、優先事項を実行に移すのを手助けする。広報幹部は、リーダーの思考を明瞭にし、その野望に声を与える。パブリック・アフェアーズのリーダーは、社会全体との関わりを支援する。そしてボビー・ケネディのように、個人的な関係性が非常に深いため、正式な肩書ではその関係を説明しきれない場合もある。肩書が何であれ、右腕とはリーダーの思考や行動の拡張体でなければならない。それは「副操縦士(コ・パイロット)」とは異なるものだ。
「右腕」と「副操縦士」の違い
副操縦士は、リーダーの能力を拡張するというよりは、組織に補完的な強みをもたらす。ウォーレン・バフェットとチャーリー・マンガーは何十年もかけてバークシャー・ハサウェイを共に築き上げ、投資判断にそれぞれ異なる視点をもたらした。アマゾン(Amazon)では、ジェフ・ベゾスがジェフ・ウィルケに依存し、同社の巨大なコンシューマー・ビジネスを構築・運営させた。マンガーもウィルケも、パートナーの能力を補完するスキルを持ち込んでいた。
右腕は、補完的というよりは密接に結合している。彼らはリーダーが自身の役割を果たすのを手助けすることに深く関与している。リーダーの考えや意図を完全に熟知しているため、決定を予見し、その判断力を代行し、リーダーが過ちを犯そうとしているときに気づかせることができるのだ。
副操縦士が去ったとき、まったく新しいチームを構築しなければならないように感じられることがある。責任の所在がシフトし、失われた能力を埋める必要がある。しかし、真の「右腕」を失う喪失感は、むしろ「身体の一部を切り取られる」痛烈な体験に近い。自分自身の判断力や能力の拡張体となっていた人物が突然いなくなるのだ。幻肢(ファントム・リム)のように、アイデアを共有したり質問したりしたくて、無意識に相手に手を伸ばしている自分に気づく。その時初めて、他人が自分の生き方や働き方にどれほど深く織り込まれていたかを実感するのだ。


