プタシュカの待ち伏せ攻撃ドローンはマイクの搭載によって、敵の対待ち伏せ攻撃任務を回避することも可能になった。
「敵のドローン(自爆型や爆弾を投下するものなど)が接近してきた場合、操縦士はその脅威を音で察知し、待ち伏せ地点から移動させることで対応できます」と同社は説明している。
マイクの追加は比較的容易だが、低コストの民生用技術を活用することで、待ち伏せ攻撃ドローンの危険度は格段に増す。
ただ、音響検知技術によってこの先可能になることは、もっと重要な意味を持つと見込まれる。
戦場の音を拾う
戦場用の音響センサーは別に新しいものではない。100年前には、複数のセンサーを有線で接続し、三角測量で音源の位置を特定する手法がおおいに役立った。第一次世界大戦中、英国の物理学者でノーベル賞受賞者のウィリアム・ローレンス・ブラッグは、マイクを活用してドイツ軍の砲兵の射撃地点を突き止める技術を開発した。古い弾薬箱を流用したマイクで音を拾い、糸を張った盤で三角測量するという簡素でアナログな装置だった。三角測量には5分ほどかかったが、20m未満の誤差で砲の位置を割り出すことができた。デジタル技術を使えば、システムを小型化し、瞬時に測量できる。
音響による射撃地点の割り出しはその後、飛翔中の砲弾を捉えて弾道を逆算できる対砲兵レーダーなど、より高度な技術に取って代わられることになった。とはいえ、音響による位置特定はいまでも非常に有効であり、高度な装備も必要としない。実際、ウクライナは2025年に新型システムを導入している。2023年にはロシアの開発者が、砲兵の射撃地点を特定するスマートフォン用アプリを開発したが、軍で採用された形跡はない。一方、ウクライナは2025年、ドローン搭載型の射撃位置特定装置を試験したと報じられている。
砲兵部隊は対砲兵射撃を避けるため、射撃後すぐにその場を離れる「シュート・アンド・スクート(射撃即離脱)」戦術をとることが多い。通常のFPVドローンは、射撃陣地の位置がわかってもそこに向かうのに10分かかるかもしれない。それに対して、数km先に潜伏する待ち伏せ攻撃ドローンであれば、砲兵の位置の割り出しも、それに対する攻撃も、もっと迅速に行うことができる。


