北米

2026.10.31 10:00

「台湾有事」でもマスク頼みか──スターリンク・スターシールドへの依存が映す米国の地政学リスク

Photo by Win McNamee/Getty Images

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民間経営者に戦時の通信を委ねれば、政府の説明責任が曖昧に

ウクライナのスターリンクとスターシールドの利用制限を決めたのは、結局誰なのか。ウクライナの将来は、その答えに左右されるかもしれない。民主主義の将来も同じだ。米国憲法は戦争と外交に関する権限を議会と大統領に与えており、民間企業やテクノロジー企業のCEOには与えていない。マスクが両サービスの運用に関与することで、政府関係者は説明責任を回避できる。不評な判断は「商業上の判断」と呼び、都合がよければ政府の功績だと主張できるからだ。

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公職者は選挙、監督、予算配分を通じて責任を問われる。マスクが向き合うのは取締役会と顧客、そして何よりマスク自身だ。マスクによるスターリンクの支配は、国家主権が担う基本的な役割を、選挙で選ばれていない気まぐれな億万長者に委ねることに等しい。マスクには、たとえ失敗しても責任を問われずに済むだけの財力がある。条件のよい提案さえあれば、マスクはウクライナ戦争の結末を容易に左右できる。

他の紛争や領有権争いでも問題となったスターリンクの運用

マスクが関わった戦争は、ウクライナが初めてではなく、最後にもならないだろう。トランプ政権とバイデン政権は、他の紛争でもスターリンクの接続や切断をマスクに求めたと報じられている。WSJは2024年、マスクが2022年末からロシアのウラジーミル・プーチン大統領と定期的に連絡を取っていたと報じた。プーチンは、中国の習近平国家主席への配慮として、台湾でスターリンクを利用できるようにしないでほしいとマスクに求めたことがあるという。ロシア大統領府は報道を否定した。

2026年2月にはフィリピン沿岸警備隊が、領有権争いのあるスカボロー礁から24海里(約44キロメートル)以内に船舶が近づくたび、スターリンクの接続が失われたと主張した。フィリピン政府は中国による電波妨害が原因だとしたが、中国政府は否定した。スペースXは公にはコメントしていない。

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