北米

2026.10.31 10:00

「台湾有事」でもマスク頼みか──スターリンク・スターシールドへの依存が映す米国の地政学リスク

Photo by Win McNamee/Getty Images

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ドローンの通信障害と不透明な制限命令、復旧を巡っても見解が対立

2022年秋のヘルソン反攻から3カ月もたたないうちに、スペースXは公式サイトでスターシールドを公表した。スターシールドはスターリンクより安全性を高めた軍事向けサービスで、軍事衛星と連携でき、機密扱いの搭載機器も運用できる。米宇宙軍は2023年9月、スターシールドのサービス提供に関する初の契約をスペースXと結んだ。

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2026年10月10日ごろ、トランプはウクライナに対し、ロシアの製油所への攻撃をやめるよう求めた。マスクもウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領について「ゼレンスキーはやりすぎた」と投稿した。10月13日夜から、時速約161キロメートル(時速約100マイル)を超えて飛ぶウクライナのドローンが通信を失い、一部は墜落した。ロシアがウクライナの電力網を激しく攻撃する中、ある部隊の指揮官は、最初の夜だけで100万ドル(約1億5725万円)超に相当するドローンを失ったと報じられた。ウクライナ国防省は事前通告を受けておらず、スペースXの顧客サポートを通じて初めて速度制限を知ったと主張した。ウクライナ国防省にとっては不意打ちだった。

衛星通信の利用を制約したのはマスクか、米政府か

マスク、ホワイトハウス、ウクライナ政府は、互いに責任を押し付け合った。マスクはスターシールドについて「米政府が所有し、管理している」と投稿した。制限は「米軍、最終的には米大統領が決める」とも述べた。ロイターは制限命令がホワイトハウス内部から出たと報じ、ウクライナ政府も同じ説明を受けたと主張している。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、速度制限を命じたのはマスク本人だと報じた。同紙の取材源2人によると、制限が明らかになった直後、マスクとトランプは電話で決定について話した。取材源2人のうち1人は、速度を制限する決定が下される前にもマスクとトランプが協議していたと主張した。

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トランプは、ホワイトハウスが制限を命じたことを否定している。「私ではない。イーロンでもないと思う」と述べた。マルコ・ルビオ国務長官は、トランプは「スターリンクやスターシールド、そしてマスクが下す判断に一切関与していない」と述べた。ピート・ヘグセス国防長官も「我々は何も縮小していない」と述べ、「最終的には順守しなければならない利用規約がある」と指摘した。

復旧後も食い違うスターリンクとスターシールドの説明

WSJは10月22日、トランプがマスクに電話し、制限解除を求めたと報じた。トランプは記者団に「要するに、マスクが元に戻した」と語った。ゼレンスキーによると、ウクライナのドローンは10月24日に従来の速度で飛べるようになった。ウクライナ国防省も同日、スターリンクとスターシールドが時速400キロメートルを超える速度で移動中でも安定して接続できると発表した。同じ日、マスクはXで、ウクライナが攻撃用ドローンにスターリンクを使い、利用規約に違反したと主張した。「抜け穴は10月12日の週にふさがれた」とも述べた。

スペースXは米議会への書簡で、スターシールドには変更を加えていないと主張した。変更したのは、ウクライナが攻撃作戦に使用していたスターリンクのほうだという。スペースXによれば、米政府の優先方針に歩調を合わせるため、スターリンクのサービスを復旧した。これに対し、ウクライナ政府関係者は、スターシールドに時速160キロメートルの上限が設定されたと主張している。商用のスターリンクをドローン攻撃に使うのは技術的に不可能だとも述べた。

米上院の与野党議員9人は10月15日、米国防総省の監察総監に通信制限の調査を要請した。しかし、監察総監は10月27日、米空軍と宇宙軍が扱うべき問題だとして、自らは調査を行わないと回答した。米議会での調査は継続しており、上院の常設調査小委員会はスペースXに11月5日までの書面回答と11月12日までの関係者による説明を求めている。

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