データが届く前に判断する
アップルが2021年4月に「App Tracking Transparency(アプリのトラッキングの透明性)」を導入した際、マーケターはトラッキングを拒否したiPhoneユーザーのリアルタイム計測機能を失った。アップルの代替ツールは意図的に結果の報告を遅らせる。「最初のポストバック(コンバージョンデータの送信)には24〜48時間のランダムな遅延が発生する」。スナップ(Snap)は数カ月以内にその影響を実感した。2021年10月、同社のCEOは投資家に対し、アップルの新しい計測ツールは「予想通りにスケールせず、広告パートナーがiOS向けの広告キャンペーンを計測および管理するのをより困難にした」と語った。
NASAの2019年の技術メモは、医療情報を地球への通信回線で優先できるよう「各データプロダクトにレイテンシー係数を割り当てる」ことを提案している。2025年のNASAレビューで要約された、遅延通信に関する2015年の研究では、参加者が「同期通信のルールを非同期の文脈に誤って適用していた」ことが明らかになった。すべてのデータポイントには、それがどれほど古いかを示すタイムスタンプと、より新しいデータが届く前に何をすべきかを定めるルールが必要である。
2種類の嘘発見
広告測定の監査を行う米国の組織「メディア評価委員会(MRC)」は、偽の広告トラフィック、すなわち実在の人間が行っていない表示やクリックを2つに分類している。単純なものは「通常のフィルタリング手段」で検知される。高度なものには「高度なアナリティクス、複数点での裏付け・連携、相当な人的介入」が必要になる。金融サービス分野には、通常のチェックを通過してしまった事例がある。JPモルガン・チェースがスタートアップ「フランク(Frank)」の主張する425万人のユーザーを確認しようとした際、創業者はデータサイエンティストを雇って顧客リストを偽造した。実際の人数は約30万人で、同行は1億7500万ドル(約277億円)を支払ってしまった。創業者は2025年3月に有罪判決を受け、現在控訴中だ。
宇宙船と航空機も同じ二分法に直面している。欧州宇宙機関(ESA)は、故障検知を「あらゆる宇宙船に搭載される重要機能」と呼ぶ。航空規制当局は、偽装された衛星航法信号の検知は「搭乗員にとってより困難で、即時にはできない可能性がある」と警告している。安価なフィルターは明らかな誤りを捕捉する。意図的な欺瞞には、より遅い第2のチェックが必要である。


