かつて、全員が同じ場所で働いていた時代、企業文化はより能動的に把握されていた。リーダーは誰が遅くまで残っているか、誰が息抜きを必要としているかに気づくことができ、社内の噂話も自然と耳に入ってきた。しかし現在、仕事環境はリモートオフィスやハイブリッドワークへと移行している。その結果、従業員のエンゲージメントが低下しているタイミングを察知するのが難しくなった。
エンゲージメントの問題は、リーダーが関心を失ったから生じるわけではない。多くの場合、注意が断続的になり、予定が過密になっていることが原因だ。人間が関心を持ち続けられないとき、テクノロジーは継続的に注意を向け続けることで真価を発揮する。筆者が学んだその活用法を以下に紹介する。
定型業務を自動化し、そこで生まれた時間を守る
AsanaやMonday.comのようなプロジェクト管理ツールは、反復的または時間のかかる業務を代行できる。たとえば自社では、新入社員のオンボーディング(定着支援)に関わるタスクに活用している。すべての工程に担当者、期限、そして誰かが意識して手動で実行しなくても自動的に起動するトリガーが設定されている。この仕組みを構築する前は、新入社員の最初の2週間は、直属のマネジャーがどれほど整理整頓できているかに左右されていた。ある人は心のこもった歓迎を受け、別の人はノートパソコンとログイン情報を渡されるだけだった。
自動化によって、マネジャーは週に数時間を取り戻せる。その時間をさらに価値の低い仕事で埋めるなら、手に入れたのは効率だけであり、それ以上のものではない。自社の場合、生み出された時間は、毎週確実にスケジュールに組み込まれる1on1や、従業員と関わるための時間に充てている。この再配分はリーダーシップ上の意思決定であり、ソフトウェアの機能ではない。どのプラットフォームも、その判断を代行してはくれない。
人材開発も自動化の恩恵を受けられる領域だ。自社ではオンライン研修プラットフォームを活用し、オンボーディング時や入社1周年などの節目において、新入社員や既存社員に適切なタイミングで研修を提供している。研修の自動化はマネジャーの負担を軽減し、従業員に対して一貫したメッセージを届けることを可能にする。
従業員が会社に対する感情を決める「瞬間」を設計する
エンゲージメントは常に一定の状態にあるわけではない。入社初日、90日目の節目、昇進、マネジャーの交代、あるいはプロジェクトが難航した翌週といった、特定のポイントで左右される。理論上は誰かがこうした瞬間に気づくはずだが、現実にはマネジャーのその週の忙しさに左右されがちだ。テクノロジーの活用は、重要局面で誰も置き去りにされないようにするための手段となる。
自社では人事情報システム(HRIS)プラットフォームを給与計算以上の目的で活用している。新しい従業員が入社すると、主要な節目ごとにアンケートが送信され、マネジャーに対して従業員と特定の対話を行うよう促すトリガーが機能する。また、コンサルタントの時間を管理するトラッキングツールを用い、プロジェクト開始直後(およびその後も継続して)クライアントとどのように関わっているかをモニタリングしている。
テクノロジーを活用した文化形成を「共有の体験」にする
チームで共に学ぶことは、文化を強化する上で不可欠だ。特に新しいテクノロジーが次々と登場する現代においてはなおさらである。企業はしばしば、チームが吸収できる以上のスピードでツールを導入してしまう。毎月のように新しいプラットフォームやAI機能、外部連携が登場し、それらすべての使用を求められる現場の社員は困惑しかねない。そのため、新たな発見をチーム構築の体験として活用することが、大きな変革をもたらす。
自社での試みは、「Tea and Tech(お茶とテクノロジー)」と名付けた月1回のオンラインミーティングだ。試したツール、半日分の作業時間を削減できたプロンプト、あるいはすでに費用を払っているのに誰も存在を知らなかったシステム機能などを、誰でも自由に共有できる。うまくいかなかった事例も持ち寄られるが、これがむしろ役立つことも多い。この取り組みは、従来のどの正式な研修よりも素早く実践的な知識を社内に拡散させ、テクノロジーを「押し付けられるもの」から「自分たちで選ぶもの」へと変える効果を生んでいる。
テクノロジーは、従業員が文化形成プログラムに参加する場を集約する手段にもなる。自社ではオンラインのウェルネスプラットフォームを活用し、水分補給の量や週間の歩数、感謝の記録など、さまざまなテーマでグループチャレンジを共有している。健康やウェルネスに有益なことに一緒に取り組む、絶好の機会だ。
エンゲージメント向上には指標(メトリクス)が欠かせない
エンゲージメントの課題に関してクライアント企業を観察していると、問題は測定そのものよりも「スピード」にあることがわかる。2月に調査を実施し、3月に厳しい結果を受け取り、7月に改善策を始動する──その頃には、課題を提起した従業員はすでに退職している。既存のテクノロジーを活用してマネジャーの時間を確保し、部下との真の直接的な対話に時間を充てる方が、はるかに効果的だ。
適切なツールを使えば、リーダーは売上、稼働率、従業員のエンゲージメント、成約率をリアルタイムで確認できる。また、マネジャー別の離職率、募集中ポジションの充足までの期間、1on1の有効性といったエンゲージメント指標を、定期的なサイクル(自社では毎週実施)でレビューすることも極めて重要である。
始めるのに遅すぎることはない
テクノロジーを活用して企業文化を支えたいと考えているなら、今すぐ実践できるアプローチをいくつか紹介する。
• 従業員ライフサイクルの中で人材が離脱しやすい3つのポイントを特定し、既存のシステムあるいは新たに投資するシステムを通じて、それぞれに対するトリガーを構築する。
• マネジャーが1週間でどのような業務に時間を費やしているかを調査・監査する。なくなっても誰も困らない作業を自動化し(理想的には既存テクノロジーを活用)、創出された時間を従業員エンゲージメントの向上にどう充てるかを明確に決定する。
• テクノロジーについてオープンに話し合う定例の時間をチームに与える。
• 事業レビュー(経営会議等)の評価項目に「人(ピープル)」に関する指標を2つ追加し、売上と同等の基準で評価・管理する。
文化とは、誰かが測定しようと考えるイベントとイベントの間の、日常的な数週間の積み重ねによって強化されるか、摩耗していくものだ。テクノロジーは自社の文化がどちらに向かうかを決定するものではない。手遅れになる前に対処できるタイミングで、現状に気づけるかどうかを左右するものなのだ。



