――現在の株価は1306円、時価総額は約81億2500万円です(10月28日時点)。株式市場からの評価をどのように受け止めていますか?
谷口:まったく現状でいいとは思っていません。むしろ全然ダメだと思っています。私たちのビジネスとストーリーを、もっと投資家に伝えていかなければならない。
時価総額100億円を超えるまでは、個人投資家の方々に知っていただくことが欠かせません。機関投資家は一定の規模や出来高がないと入ってこない。機関投資家ともコミュニケーションは取っていますが、短期的には個人投資家との接点を増やすことに力を入れています。
個人投資家の勉強会に足を運び、終わった後は一緒に居酒屋へ行って話をする。主婦の方に「もっとこうしたほうがいいんじゃないの」と言われたり、70歳の方に「甘いんじゃないの」と言われたりしながらです(笑)。
――2023年には、株価が1月の安値585円から6月の高値3990円まで、約6.8倍に上昇しました。こうした値動きをどう見ていますか?
谷口:回転寿司店での迷惑行為が話題になったとき、全店にカメラが入るのではという思惑で上がりました。強盗事件が増えたときや、前年に安倍元首相が銃撃されたときもそうです。確かに業績の回復もありました。
ただ、今のグロース市場は、そうした外的な出来事に、もはや反応しなくなっています。資金がプライムの大型株に向かう中で、グロースは厳しい。だからこそ、業績を上げることが大前提です。ストーリーと業績の両方を理解し、認知していただくために、接点を増やしていく。それしかないと思っています。
――目指す時価総額を教えてください。
谷口:まずは300億円。そこに届かないと話になりません。その次に500億円、1000億円。思いとしては、2030年までに1000億円規模にはいきたい。グローバルに出ていくなら、1000億円を超える企業になることが大前提です。日本でトップを取り、世界に出て、フィジカルAIのインフラへと進む。それが中長期のビジョンです。

インタビューを終えて
谷口の話で印象に残ったのは、株価に対する率直さである。「全然ダメだと思っている」と言い切り、グロース環境の厳しさに触れつつも、まず自社のストーリーが伝わっていないことに目を向ける。
時価総額100億円という節目を見据え、個人投資家の勉強会に足を運び、地道な対話を重ねながら、将来的には機関投資家にも評価される企業を目指す。業績とストーリーの両輪で理解を得るという考え方は、グロース市場で評価に悩む多くの企業にも通じるものだろう。
「実現できても、買えないものはつくらない」という姿勢もまた、PoCで足踏みする技術系スタートアップへの示唆に富む。監視カメラを経営の道具へと変えた同社が、次にフィジカルAIのインフラとなれるか。その試金石は、顧客のROIを示せるかどうかにあるだろう。


