アジア

2026.10.30 13:15

ロシアとイランの混乱で注目集める「中央アジア産資源」、パイプライン建設は実現するか

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資金を巡る問題

では、誰が費用を負担するのだろうか? 資金提供については、いずれの側からもまだ確約されていないが、その理由は政治的というより商業的なものだ。投資家が同パイプラインに多額の資金を投じる前に、3つの条件を考慮することが必要となる。すなわち、買い手、建設に関する明確な法的権利、そして信頼できる供給者だ。欧州は長期契約を提示していない。ロシアとイランは法的権利を争っており、トルクメニスタンとアゼルバイジャンの間の海底の境界線は明確になっていない。さらに、トルクメニスタンはパイプラインの能力を満たすだけの天然ガスを供給することを保証していない。欧州連合(EU)は長年にわたり、机上ではこの構想を支持してきたが、建設費用の負担を申し出たことはない。

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米国も資金面では具体的な支援をしていないものの、言葉の上では賛同している。マルコ・ルビオ米国務長官は今春、トルクメニスタンのラシト・メレドフ外相との会談後、同国産の天然ガスをカスピ海経由で西方へ輸送する計画に対し、強い支持を表明した。米国際開発金融公社(USIDFC)は、カザフスタンのカスピ海沿岸の港と物流に関する計画を検討している。

こうした計画に懐疑的な声は、これまでの経緯に根差している。同パイプラインは数十年にわたり、実現間近とされてきた。だが、ロシアとイランは、カスピ海の海底計画には両国に加え、カザフスタン、トルクメニスタン、アゼルバイジャンの沿岸5カ国全ての承認が必要だと主張している。さらに、米シンクタンク「カーネギー国際平和基金(CEIP)」は、中央アジアから伸びる経路は全て、紛争地域の近くを通っていると指摘している。

変わりつつある状況

とはいえ、従来の反対意見は弱まりつつある。かつては難色を示していたトルクメニスタンも、今ではこのパイプライン敷設計画を優先事項に位置付けている。カザフスタンからロシアを経由する輸出経路は信頼性に欠けることが判明した。欧州はこの4年間で2度、エネルギー供給の混乱を経験している。2022年のロシア、そして今年に入ってからはペルシャ湾岸諸国からの供給だ。全長300キロのパイプラインの建設には、ユーラシア全域の平和が不可欠というわけではない。必要なのは、トルクメニスタンとアゼルバイジャンの間で、両国の海底境界線をどこに引くかについて合意することだけだ。トルクメンガスのアルチャエフ副会長によると、両国は現在、これに関する協議を進めている。

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カスピ海沿岸諸国は、地理的条件を交渉の切り札に変えようとしている。カザフスタンはロシアを経由しない輸出経路を確保し、トルクメニスタンは中国以外の輸出先を獲得することになり、経由地のアゼルバイジャンは通過料を得ることができるようになる。欧州はホルムズ海峡や黒海を経由しないエネルギー資源を確保することができ、米国にとってはロシアとイランの影響力をそぐことにつながる。

米国のルビオ国務長官と200人以上の米企業幹部らは19日、ウズベキスタンのサマルカンドで中央アジア諸国の首脳らと会談した。トルクメニスタンの首都アシガバートでは、21~23日にかけて石油・ガスフォーラムが開催され、西側投資家の誘致が図られた。アルチャエフ副会長はユーラシアネットの取材に対し、カスピ海横断パイプラインは極めて重要な意味を持つと語った。

過去30年にわたり、同パイプライン計画は単なる外交上の社交辞令に過ぎなかった。だが、ホルムズ海峡の封鎖や黒海沿岸の港に対する無人機攻撃といった現状を鑑みれば、今やこの計画は説得力のある商業上の案件となっている。

(訳注:カスピ海は地理学上では湖に分類されるが、外交上では海に準じた規則が部分的に適用されているため、外交問題を中心に論じている本稿では「同海」「海底」など、海として表記した)

(forbes.com 原文)

翻訳・編集=安藤清香

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